ハニア「ねえ、ヤクトミ兄ちゃん」
ヤクトミ「ん?」
ムー大陸 マーフ国 北部一帯を占める大砂漠 "アクロスザヌル"
ヤクトミは北へ向かったと思しきW・B・アライランスを追うため、巡礼の護衛を兼ね、ハニア一家と一路北への最短ルートである砂の大河南岸のモンスターハンターキャンプ地を目指していた。
ラクダに揺られ、延々と続く砂ばかりの風景に飽きてきたハニアは、ヤクトミに、気になっていた疑問をぶつけた。
ハニア「兄ちゃんのさ、そのお友達って、どんなやつ?」
ヤクトミはうつむいて少し黙り、ハニアに次のように切り返した。
ヤクトミ「ハニア、お前の今までで一番の友達って、どんなヤツだった?」
ハニアは空を見上げ、少し考えた。
ハニア「カーシーの前に住んでた町の教徒でさ、よくうち(教会)に来てたから仲良くなったんだけど……んー、どんなやつ……そうだなー……いざ、どんなやつって聞かれると、パッと出てこないなあ……ちょっと待って……」
ハニアは腕を組み、考え込んだ。
ヤクトミ「……」
ヤクトミは懸命に考え込むハニアの横顔を眺めた。
しばらくして、ハニアはヤクトミの方に振り返った。
ハニア「たまにムカつくときもあるけど、嫌いにはならない、家族みたくいつも一緒にいるわけじゃないけど、"友達"で当たり前……みたいな、そんなやつ。……わかる?」
ヤクトミは笑って前を向いた。
ヤクトミ「わかるよ。俺の友達もそんなやつだよ。いるのが当たり前で、何でも分かり合ってると"思ってた"」
ハニアは眉根を寄せた。
ハニア「思って"た"?」
ヤクトミは自嘲気味な笑みを浮かべた。
ヤクトミ「でも、そう思ってたのは俺だけみたいだ。今のアイツはよくわからない」
ハニア「嫌いになった?」
ヤクトミは首を縦にも横にも振らなかった。
ヤクトミ「けど俺、どうしてもアイツを"信じる"ことをやめられないんだよ。今のアイツはウソなんじゃないかって。本当は俺に言えない大きな秘密を一人で背負い込んでるんじゃないかって」
ハニア「それで会いに行くんだ?」
ヤクトミの表情が、一瞬だけ曇った。
ヤクトミ「ま、そーゆーこと。……ちょっとしゃべりすぎたかな」
ヤクトミはそう言って苦笑いした。

ハニアはムスリとした。
ヤクトミ「ん? 何か怒ってんの?」
ハニア「……俺、ヤクトミ兄ちゃんと、もう友達のつもりなんだけど」
ヤクトミ「え? 俺もそのつもりだけど?」
ハニアは唇を尖らせた。
ハニア「じゃあ、友達の俺にそんな大事な本音、しゃべりすぎたみたいな、ヒミツを間違えてしゃべっちゃったみたいな言い方しないでよね!」
ヤクトミは笑った。
ヤクトミ「そっか、ごめん。じゃあもうちょっと、話、聞いてくれるか?」
ハニアは笑った。
ハニア「当たり前じゃん」
――― new each friend (閑話) ―――
2009.5.30 KurimCoroque(栗ムコロッケ)
2011.10.19(改)