31.The late Eyes prev next
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 パンゲア大陸東海岸 ファンディアス国 ファリアスの港町
 その郊外に聳える岩山の中腹にある洞穴――魔薬組織"黒い三日月"アジト。

 ゴツゴツとした岩肌むき出しの、圧迫感のある入り口から暫く進んだ先の開けた空間、アジトの中庭部分。


 ライトブラウンのクセッ毛をくしゃくしゃと掻き、頭やワイシャツについた"霜"を払い落とすと、クロブチメガネを光らせ、ウランドはニヤリと笑った。
 ウランド「危ないな」

 声をかけたその先の、黒髪黒目の坊主頭にジャラジャラと並べられたたくさんのピアス、腕を覆うタトゥーに筋骨隆々とした大男、トウジロウは我関せずといった風にふかした煙草の灰を落とし、鼻で笑った。
 トウジロウ「やかましいわ、死に損ない」



―――― The late Eyes遅れてきた主役 ――――



 「トウジロウさん!」

 夕焼けのような赤い髪にソバカスやニキビだらけの顔、大きな翠の瞳、背中に手傷を負い動けずにいるリケは、そのようやく現れた姿にどこか安堵した。そのようなリケの様子に、トウジロウは鼻で笑った。
 トウジロウ「大ケガやんけ、ダッサ」
 そうして再びクロブチメガネに視線を戻した。
 トウジロウ「お前のせいやぞ、グースカ呑気に寝てんなやカス!」
 ウランド「あー、わかったわかった。確かに油断したのは悪かったと思ってるよ」
 トウジロウは怪訝そうに眉をよせた。
 トウジロウ「やけに素直やんけ、きしょいわ」

 ウランドの手元には先ほどトウジロウが投げ渡した三節棍。それぞれの棒の両端には宝飾が組み込まれ、中からジャラリと音を立て白く光る鎖がそれぞれの棒を繋いでいた。折り畳まれていたそれを一気に広げるとウランドはニヤリと不敵に微笑んだ。
 ウランド「"責任をとって"この悪魔は俺が殺る」

 直ぐ様トウジロウの太い指がウランドを指した。
 トウジロウ「なにぬかしとんねんオッサン! アーティファクト持って来たったんは俺やぞ! あいつは俺の獲物や!」
 そうしてズイとウランドの前に躍り出た。間髪入れずウランドはトウジロウを肩で後ろに押し退けた。
 ウランド「お前は遅刻してきたんだから後ろで指くわえて見てろ。 年功序列だ、俺がやる」
 今度はトウジロウがウランドを押し退けた。
 トウジロウ「ふざけんなドアホ! 年寄りはすっこんでろ!」
 再びウランドがトウジロウを押し退けた。
 ウランド「ガキがすっこんでろよ」
 ついにはトウジロウのゴツゴツとした大きな手がウランドの胸ぐらに掴みかかった。その勢いでウランドのワイシャツのボタンはいくつか吹き飛んだ。

 二人の大男の掴み合い罵り合いの大喧嘩に、ついにリケは大声を張り上げた。
 リケ「いい加減にしなさいっ!」


        


 トウジロウとウランドは同時に答えた。
 トウジロウ「せえへん」
 ウランド「いやです」
 リケは長い溜め息をつきながらクシャクシャと頭をかきむしった。

 鼻ピアスが光る端正な顔立ちの空色の瞳の青年、ロロは冷めた視線をリケに送った。
 ロロ「あの悪魔、"生け捕る"で認識あってる?」
 リケは眉間を摘まんだ。
 リケ「少なくともあの二人以外はね」

 リケとロロが見上げた先、どす黒く変色した人間の腕が体毛のごとく無数に蠢く、六つの目と八つの腕を持つ化け猫、ギルティンは、こうしている間にもムクムクと肥大化、変形を繰り返し、おぞましい完成形へと姿を戻しつつあった。

 リケ「変身中で動けないでいる今がチャンス!」
 トウジロウとウランドの子どもじみた喧嘩を仲裁しようと背中の激痛に耐え、半歩踏み出した時だった。
 ウランドの首根っこを細い手がわし掴むと、ウランドは大きく後ろに引き寄せられ、思わずバランスを崩した。そこへすかさず細い腕がウランドの首に絡み付くとそのままガッチリと固定され、身動きがとれなくなった。
 揺れる小豆色の長い髪、オリーブ色の切れ長の瞳――フーは自分の脇に収まるライトブラウンのクセッ毛を睨み付けた。
 フー「てめぇー! こんなときにわけのわからねぇ喧嘩してんじゃねぇよ!」
 ウランドは首をキメられているためか声が出ず、ひたすら自分を締め上げる細腕を弱弱しく叩いていた。その様子にトウジロウは「ざまあみろ」と満足げな笑みを浮かべた。

 トウジロウ「ねぇちゃん、いっときそのまんまオッサン押さえてて」
 その声に上げた顔の美しさに、トウジロウは感嘆し、ニヤリと笑った。
 トウジロウ「名前は」
 フー「フーだよ」
 トウジロウ「フーかぁ、かいらしい名前やなあ」
 そうして手にしていた刀を肩に担いだ。
 トウジロウ「あの悪魔倒したらデートしてや」
 フー「生け捕りが条件だ、あいつを弱らせれば後ろにいる道士(※)が捕らえる」
 ※ロロの事。

 鷹のような鋭い瞳に目の前の悪魔を捉え、トウジロウの口の端がつり上がった。
 トウジロウ「上等や」
 そうしてトウジロウは地を蹴った。

 フーは漸くウランドから手を離した。直ぐ様ウランドは顔を上げた。
 ウランド「あのね」
 フーはニヤリと笑った。
 フー「あんたとあの坊主頭、あたしはどっちとデートすんのかな〜?」
 ウランド「……まったく」
 三節棍を引きずりながら首をさすり、数歩前に出ると、勢いよく地を蹴りトウジロウの背中を追った。


        
        
        
 ギルティン「チマチマ次から次へと現れやがって!」

 なおも肥大化を続けるどす黒い体表から、人間の形をした腕が複数本伸びトウジロウに襲いかかった。
 トウジロウは刀を抜いた。

 襲い来るどす黒い"腕"は瞬きする間もなく一刀両断された。
 
 ところが、その断面から再び腕が生え、何事もなかったかのようにトウジロウに襲いかかった。
 リケ「再生した!?」
 トウジロウ「時間の精霊属性かい!」
 ギルティン「ガハハハハ! その通り! 俺の能力は"再生"! いっくら切り刻もうが死なねぇ」
 その浅さの見え隠れする自信満々な発言に、呆れたようなトウジロウのため息はあからさまでわざとらしいものだった。

 刀身に白い冷気が帯びる。

 再び襲いかかった黒い腕は先ほどと変わりなく一瞬のうちに一刀両断された。
 ギルティン「何度やろうが同じだぜ!」
 トウジロウ「せんど同じことするわけないやろアホんだら」
 トウジロウの刀による断面は真っ白に凍りつき、ギルティンの"再生"を阻害していた。
 トウジロウ「二度とサイセイでけへんようカッチンコッチンにしたるわ」
 ギルティン「ガハハ! 魔法が俺に効くはず……」

 冷気を帯びた刀はキラキラと空気中の水分を凍らせながら弧を描いてトウジロウの肩に担がれた。

 ギルティンは目を細め、その刀を見つめた。
 ギルティン「んんん? なんかそれ見たことあんなあ」
 トウジロウ「なんやお前、"九千年前の時"からいてるんか。こいつはアーティファクト"オバハリ"や」

 その単語を耳にした途端、ギルティンの顔から余裕が消えた。
 ギルティン「つぎ込んだ魔力に応じて魔法剣の威力を倍にする魔剣……!」
 ――しかも、アーティファクトはもともと神共と悪魔おれらを殺すための兵器だぁあ! こいつを利用した魔法や法術は一転しておれらや神共に牙をむく!

 目の前の脅威に、慌てふためくどころか逆に冷静になりかけたギルティンにさらに次の脅威が襲い掛かった。
 ジャラジャラと音を立てて、鳥のようにギルティンの周囲を舞う、白く光る鎖とその先端の"鉤爪"。それは獲物を狙う猛禽類のように速さを増し、そしてギルティンの背中を右から左へ貫いた。
 ギルティン「イッテエ! 何だ!」

 目に飛び込んだのは成人男性の肘から下ほどの大きさの赤く光る鉤爪。
 それはクルリと弧を描き、そのままグルグルと白い鎖を連ね従えながらギルティンに巻きついた。
 ギルティン「"ブリューナク"!?」
 次の瞬間、幾重にも巻きついた白い鎖の爆発とともにギルティンの体は螺旋状に大きく抉れた。

 トウジロウは「邪魔しやがって」という視線を隣のクロブチメガネに送った。

 ジャラジャラと音を立て、一本に組み立てられていた三節棍の先端の宝飾に引き戻されながら、白い鎖は光の粒となって宝飾の中に消えていった。

 ウランドはバタバタと音をたてて飛び散る悪魔の肉塊を見つめ、ニヤリと笑った。
 ウランド「二度とサイセイできないよう、粉々にしてやる」

 真っ直ぐとウランドを指差しトウジロウは怒鳴った。
 トウジロウ「マネすなーーーー!」
 ウランドは鼻で笑い顎で指し示した。その先にはギルティンの肉塊がナメクジのように地を這い、螺旋状に全体の約三分の一が抉れた本体の元へ集まり始めていた。
 ウランド「ゴミ掃除してやるって言ってやってるんだ」
 トウジロウ「誰も頼んでへんわ! ほんっっま協調性のないオッサンやな!」
 ウランド「何言ってる。協調性がないのはお前だろ」
 トウジロウ「お前や!」
 ウランド「お前だ」
 リケ「どっちもよ!」

 トウジロウとウランドは同時に、後方から差し込まれた声の主を振り返った。リケは心底呆れた様子で二人を怒鳴り付けた。
 リケ「なんで目的が倒すことに刷り変わってるの! 子どもじゃないんだから自分のやりたいことを優先しない!」
 直ぐ様トウジロウが噛みついた。
 トウジロウ「待ってぇな、リケはん。俺は殺意ある発言はカケラも」
 ウランドの踵が、思いきりトウジロウの足の上に落とされた。トウジロウは思わず踞った。
 ウランド「すみません、クラブのエース」
 リケはよしと頷いた。
 リケ「あと、協調性がなんたら言ってるけど、協力して!」
 ウランドは前を向き、踞っていたトウジロウも顔をあげ、同時に言った。
 トウジロウ&ウランド「無理」

        
        
        
        
 リケは絶望的な溜め息をついた。
 リケ「あいつら……」
 その脇で、しゃがんで頬杖をついていたロロはいつもの薄ら笑いを浮かべた。
 ロロ「クロブチメガネのおにいさんは、わからないマヌケじゃないと思うし、わかっててやるバカでもないと思うよ〜。あっちのデカイの(トウジロウ)は知らないけど、頭はよさそう〜」
 チラリとロロを見下ろし、リケは思った。
 リケ(短時間で他人の性質を見極め、把握する能力が高い……大勢の手下を従えるカリスマ性の所以ね。……それを悪事にさえ利用しなければよかったんだけど)

 フー「白瞼如律令」

 激しい落下音。めり込む拳。肉塊が集まりかけていたギルティンの本体は脳天から降ってきた"白い固まり"に押し潰された。
 全身ツルンとした陶器のようなボディに背中から広がる虎の模様。黄色く光る目以外何もないメタリックの顔が、互いの胸ぐらを掴みながらキョトンとこちらを見つめる二人の魔導師に向けられた。
 フー「やんないならあたしがやるよ、デートはオアズケな」
 トウジロウ「さっきのねぇちゃんか! そら、かんにんやわ」

 そうしてウランドを押し退けた。
 トウジロウ「オラのけ、オッサン」
 ウランド「お前がどけ」
 トウジロウ「やかましいわ! 俺はデートかかっとんねん」
 ウランド「そうなったら彼女が可哀想だからな」
 トウジロウ「なんやとコラァア!」

 胸ぐらを掴まれたまま、どこ吹く風とトウジロウを気にも留める様子なく、ウランドはギルティンの頭の上の白虎に顔を向けた。
 ウランド「フー、やるからそこどいて?」
 フー「いくらバラそうが、こいつは復活するぞ」
 すかさずトウジロウが割り込んだ。
 トウジロウ「さっすがやな、ねぇちゃん! オラ早よのけや、生ゴミ」
 そうしてウランドを押し退けた。その様子を見ながらフーは顎を擦った。
 フー「どう生け捕るつもりだい? 天下のトランプサマの施設はよく知らないけどさ、これだけデカいの連れて帰れんの」
 トウジロウ「ちょろいわ、ぶつ切りして持って帰ったる」

 ――よく言うぜ、人間ふぜいが!

 フーはギルティンの頭上から飛び退いた。
 その瞬間、ギルティンの全身の毛穴という毛穴から黒い腕が飛び出し、それはまるで雲丹のように鋭く辺りの壁を突き刺すと、そのままフーに潰された体を持ち上げた。その様は、蝶になるのを待つサナギの様だった。
 肉塊が、ナメクジのように地面を這いながら本体へ集まってゆく。

 フー「復活まで時間がねぇ! オラ、てめぇら喧嘩してる場合じゃねぇぞ!」
 トウジロウは鼻で笑い、ウランドを見下ろした。
 トウジロウ「ホレ、べっぴんさんからのお達しやで、年寄りはすっこんでろや」
 ウランドは溜め息をつき、数歩ずつ下がっていった。

 リケは安堵の溜め息をついた。
 リケ「話がついたようね」
 ロロ「……あのクロブチメガネのおにいさん、こと戦闘に関しては大人しく引きそうにないけどね〜」
 嫌なこと言わないでよ、と視線を向けた先のロロの様子は何かを考え込んでいる風だった。
 リケ「……何か気になる?」

 ロロ「あのデカイお兄さん、強そうだね〜」
 リケ「もちろん! グランドセブンの一人なんだから! 彼がいればもう安心だわ」
 ロロはニヤリと笑った。
 ロロ「……それはどうだろね?」


        


 襲い来る幾つもの黒い腕。その全てを人間離れした身体能力で両断してゆく。その断面は凍結し、ギルティンの"再生"能力は通用しない。ところが、
 トウジロウ「あァ!?」
 トウジロウの足をガシリと掴むもの。足元を見るとそこには、断面が凍結した、黒い腕。

 空色の瞳を細め、ロロはいつもの薄ら笑いを浮かべた。
 ロロ「やっぱな。デカイおにいさんが強いってことと、あの悪魔の能力を攻略できるかどうかってのは別の話だ」
 リケ「どういうこと」
 ロロ「一度、ギルティンやつの首を跳ねたことがある。だけどやつは首と体それぞれで意思を持ち動き回っていた。どれだけぶったぎろうが、関係ないってことだろう」
 リケ「……それってつまり」

 口の両端を吊り上げ、空色の瞳は半月に歪んだ。
 ロロ「相性が悪い」

 トウジロウの足首をつかむ黒い腕は常軌を逸した怪力でトウジロウの巨体を振り回した。ミシミシと骨が軋む音がした。
 その怪力に投げ飛ばされる前に、黒い腕の中心に白く輝く刃が深く突き立てられた。
 カチコチと音を立て、黒い腕は氷結し、やがてひび割れ砕け散った。ギルティンの豪快な笑い声が響いた。
 ギルティン「氷が溶ければまた元通りだ。いっくらぶったぎろうが、粉々にバラそうが、ムダだぜ! 俺はそうやっててめぇらの体力尽きるのをただ待ってりゃいい」

 フーは苦々しい表情を浮かべ、舌打ちした。
 フー「不死身ってやつじゃねぇか。"九千年前"から生き残ってるはずだ」
 リケ(……不死身にも唯一攻略法がある……)
 リケはロロを見つめた。
 リケ(魔導師専用道具か法術による"封印"。だけどそれじゃ……連行は、無理か……)
 トウジロウ「さよか」
 光すら吸い込むような漆黒の瞳は手にする刀の刃のごとく冷たく笑んだ。
 トウジロウ「こら、そこのねぇちゃんとのデートは無しやな」

 カチャリと音を立て、冷気を帯びる刃が反された。風が渦巻き、吐く息は瞬時に白くなった。空気中の水分が凍りつき、キラキラとランプの灯りを反射した。全身に針を刺されているかのような、むしろその感覚すらなくなってしまう強烈な冷気が中庭に満ちた。

 トウジロウ「殺す」

 ズイとトウジロウの胸の前に掲げられた"槍"。トウジロウは水を差すなと持ち主のクロブチメガネを睨み付けた。
 ウランド「いちいち頭に血を昇らせるな、面倒なやつだな」

 トウジロウ「じゃかあしゃあアホンダラァ」
 ウランド「相性が悪い、それだけだ。今回は"可能な限り生け捕り"がミッションだぞ、脳ミソ使え」
 トウジロウは舌打ちし、呆れ返ったと視線を向けた。
 トウジロウ「言えたクチかい」
 ウランドは肩を竦めた。
 ウランド「お前がデートできないと可哀想だからな」
 トウジロウ「お前のオナサケがいっちゃんムカツクねん!」

 ギルティン「楽しそうなおしゃべりだなあ。俺も混ぜてくれよ」

 肉塊のほとんどがギルティンの欠けた部分を再構築し、十メートル以上はある中庭の吹き抜け天井に頭がつくほどの、ムカデのように無数の足を持つ八目の黒豹へと姿を変えた。
 ギルティン「この姿に戻るのは、九千年ぶりだぜぇえぇぇ」

 身を切るような禍々しい魔力、圧倒される威圧感、脅威的な自然災害を目の前にしたような、どうにもする術が全くない無力感。リケは全身が鳥肌に埋め尽くされるのを感じた。
 リケ(想像以上に大物……!)

 ロロ「も〜そろそろ変身ごっこ見るのも飽きたなぁ〜」
 そう呟くロロの声色は無味乾燥とした、全くの無関心であることが見てとれた。徐に立ち上がったその空色の瞳の端整な顔は大人しくしていることに飽き飽きとした子どものようだった。
 リケ「飽きたって、」
 ロロ「これ以上ブサ猫と魔導師あんたらにうちん中荒らされたらかなわねぇ」
 そうしていつもの薄ら笑いを浮かべると、経文で埋め尽くされた太い腕を捲った。
 ロロ「おれも参〜戦〜」

 ウランド「フー」
 フーはライトブラウンのクセッ毛に目を向けた。
 ウランド「後ろの赤毛の女性、ケガしてるからお願い」
 フーは改めて目の前の巨大な黒豹を見上げた。
 フー(……あたしはお邪魔ってか)
 フーは静かに下がった。

 ウランド「お前は頭だけ使ってろ、"他"は俺がやる」
 トウジロウ「他てなんやねん! お前も頭使えや! あ、無いか、そない脳ミソ!」
 ロロ「うるさいな〜おにいさんたちから先に"掃除"しようか?」
 三人は同時に構えた。
 協調性なし


        
        
        
 ギルティン「ガハハハハ! 腹が減ったぜぇえ!」
 そうして八つの瞳はそれぞれ同時にロロに向けられた。
 ギルティン「お前はメインディッシュだぁあ、僧侶おぉ」

 ロロ(悪魔のクセに法術使いを後回し……短絡的、後先なぁ〜んも考えないタイプ。"再生"能力ゆえの慢心、バカみたいにスキだらけ)
 空色の瞳はチラリと隣に立つ魔導師たちを映した。
 ロロ(こいつら使うか……)

 バラバラと黒豹の幾つもの足が波打つように動き出した。

 それは目にも止まらぬ動きで壁から天井を這いリケの頭上へ到達した。
 ギルティン「お前からだ、お嬢ちゃん」
 リケは宝剣を構えた。

 ギルティンはニヤリと笑うと、リケに向かい鍾乳石のように垂れ下がっていた体を天井へと引っ込めた。
 間髪入れずにギルティンの目の前を横切る鉤と白い鎖。
 八つの目が鎖の先を辿った。そして持ち主であるウランドと目が合うと小馬鹿にしたように笑った。ウランドはフーに視線を送った。
 フー「"白瞼如律令"!」
 リケを抱えると、フーは白虎の強靭な脚力によって、あっという間に中庭を駆け抜け出口へと差し掛かった。

 ギルティン「逃がすかよ」
 ウランド「貴方をね」
 天井に刺さったままの鉤が赤く輝き、そしてギルティンの目の前に架かる白い鎖が連なるように爆発、ガラガラと音を立てて天井は崩れ、出入口は原型もわからないほど瓦礫に埋もれてしまった。
 天井の崩落と共にギルティンも床に落下した。
 クルリと足を下に向け、ズンと音をたてて着地するとニヤニヤと笑い、舌なめずりした。

 次の瞬間、黒豹は矢のごとき速さで中庭内を上下左右縦横無尽に駆け回りだした。それはまるでレールの敷かれていないジェットコースターだ、以前ヨトルヤにせがまれ足を運んだ遊園地で実物を見たことのあるウランドはそのように思った。

 ロロ「敷かれたらぺしゃんこだね〜」
 その"巨大な凶器"を間一髪、紙一重と避けていくうちに三人はバラバラに部屋の角に誘導されていった。
 そうしてギルティンはトウジロウに狙いを定め、スピードを早めた。トウジロウは刀を構えた。

 白く光る刃の一閃。

 ザリザリと音を立て、黒豹の巨体はバランスを崩し、横転した。
 辺り一帯には、無数に転がる黒豹の右足。その断面は真っ白に凍結していた。
 トウジロウ「もう半分も切り落としたる」

 ところが、切り落とした足たちがガリガリと爪をたて、指だけで徘徊し始めた。さらに、
 ギルティン「ガッハッハ! 意味ねぇよ」
 ギルティン本体の、右足があった凍結した断面は体毛の中に飲み込まれ、まるで、何事もなかったかのように代わりの新たな足が生え揃った。

 その様を見、ロロは目を細めた。
 対してトウジロウはあからさまにイラッとした様子だった。

 ガサガサとゴキブリのように素早く這い回る数十本ものギルティンの右足たち。それを赤く光る鉤が獲物を捕らえる猛禽類のように自在な動きで一つ一つ正確に潰し、間髪入れずに爆発、足たちは文字通り粉々に引き裂かれていった。
 ウランド「落ち着け。正攻法じゃ敵わない」
 トウジロウ「わかっとるわい、探っとんねや」

 引き裂かれた肉塊はナメクジのように這い回り、元の姿に戻ろうと集まり始めた。

 ロロ「"転想如律令トゥワールジャッキング"」
 ウランド「ん?」
 トウジロウ「あぁ!?」
 頭の中に、あの蒼い瞳の若造の声が響く。


        


 トウジロウ「俺に命令すなクソガキ!」
 ロロはさも残念だと言わんばかりに苦笑しながら眉間に皺を寄せた。
 ロロ「そっか〜ごめんなさ〜い、いくら魔導師先生でも、さすがにそこまでできないよね〜」
 トウジロウの額に青筋が立った。
 トウジロウ「……なんやと?」
 ウランド「……なるほどな、いいから早く試せ」
 トウジロウ「やかましい!」

 そうして刀を構えると白刃が宙を切った。
 同時に発生した"白い風"はナメクジのように這う肉塊たちの間を駆け抜けると、一瞬のうちにそれらは真っ白に凍結した。床を埋め尽くし蠢いていた"ナメクジ"たちは一瞬で時が止まったように動かなくなった。
 ギルティンの顔色が変わったのはその時だった。

 ロロ「ひとつ〜、俺があんたの首をはねた時、あんたは首と胴体それぞれで動いてた」

 ギルティンの8つの目がウランドの槍に視線を集めた。

 ロロ「ふたつ〜、デカイおにいさんが黒い腕をぶったぎった時、腕は腕で動作していたけど、メガネのおにいさんに吹き飛ばされたとき、バラバラになった破片は原形に戻ることを優先した」

 ギルティンの8つの目は次にトウジロウの刀を捉えた。

 ロロ「みっつ〜、今あんたの腕を飛ばした時、これで確信したよ。やっぱり二つ目とおんなじ、」

 ロロのスラリとした指がギルティンを捉えた。
 ロロ「一定以上バラされると、"再生"を優先させ、個々には機能しない。それが何を示すかわかる? ブサ猫」

 ギルティンは笑いながら後ずさった。
 ギルティン「なんだ、俺を生け捕りにするんじゃ、」

 ロロの笑みは冷酷だった。
 ロロ「お前の首だけあればいい、そっから下は、いらな〜い」

 そしてバキバキと指を鳴らした。
 ロロ「てめぇの冷凍ミンチは残らず封印してやる。言ったろバラバラに海に沈めてやるって」
 ギルティンは高らかに笑った。それはまるで、無理矢理自らを擁護するかのような笑いだった。
 ギルティン「さっき見たろ? この姿の俺はいっくら切り刻もうが何度だって生える、」

 ウランド「あ、それは大丈夫です」
 クロブチメガネの奥の焦げ茶色の瞳は、冷静さの中にたぎる逸りを堪えきれずにいるようだった。
 ウランド「もう、目が慣れましたから、貴方のスピードに」
 トウジロウは心底不服そうにそっぽを向いた。
 トウジロウ「俺の出番はそれからや。残念やった〜、そのおもろい"生え替わり"、もいちど位は見ときたかったわ」

 ギルティンは目玉が零れ落ちるのではないかというほどの形相で吼えた。
 ギルティン「人間風情が! 俺の本気を思い知れ!」

 間髪入れず、走り出した黒豹は、最早その形を目に留まれぬほど、先ほどとは比べ物にならないほどのスピードで三人の間を横切った。

 そこへ響く、ヤレヤレと短く小さな溜め息。
 ウランド「申し上げたでしょう、目は慣れたと」
 赤く光る鉤は短い爆発を繰り返し方向をこまめに変え猛スピードで駆け回る"黒い塊"の喉元を捉えると、一瞬にして白い鎖がギルティンの巨体を締め上げた。漁で揚げられた大物のように横たわるギルティンは白い鎖の中でバタバタと暴れまわった。

 ギルティン「ヤメロッ!」
 ウランド「ヤメない」

 激しい起爆音とともにビチビチと音を立て、ギルティンの首から下は粉々に粉砕、中庭じゅうに細かい肉塊が飛び散った。
 トウジロウ「汚いわドアホォ!」
 オーケストラの指揮者のように、美しい白刃が宙を切ると雪混じりの激しい突風が中庭内を駆け巡り、すべての肉塊は芯まで凍りついた。

 カラカラと音を立て、壁や天井から剥がれ落ちる肉塊。その"雨"を一身に受けるように手を翳し、ロロは天を仰いでいつもの薄ら笑いを浮かべた。
 ロロ「"奈落転心如律令マスカレイド"」


        


 ギルティン「バッ! テメッその術!」
 一見、何事も起こっていないようだったが、
 トウジロウ「何や? 変われへんやんけ」
 空色の瞳がウランドに向けられた。
 ロロ「あんたにかけた術の逆〜」
 ウランド「逆、といいますと?」

 ロロ「肉体を動かすのは"魄"に繋ぎ止められた"魂"。それを更に"精神世界"と"精神体"に引き剥がして、ソイツ自身の"精神世界"にぶちこむ」

 トウジロウは苦笑いした。
 トウジロウ(怖っ! 生き物に使う術やない。おまけに発動トリガーばらせへんとこが根性腐れとる……)
 ウランド「……えーと?」
 ロロ「おにいさんにかけた術は〜、あんたの"精神体"をおれの"精神世界"にぶちこむの。ぶちこむ先が内と外で逆でしょ〜?」
 ウランド「はあ……で、そうなるとどうなるのですか?」

 ロロは愉快そうに、目の前で喚き散らすギルティンの様を見つめた。
 ロロ「"完全封印"。自分の"精神世界"だ、他人のより"適応"しやすい。気づくことなく自分の"精神世界"に"適応"し、肉体が朽ちて魂魄が天使に喰われるまでルンルンして過ごすんだよ〜」
 ウランド「……よくわからないですけど、なんだか怖っ!」

 ロロはにこりと微笑んだ。
 ロロ「そして仕上げ〜」
 そしてズラリと経文が並べられた手を地面に付けた。

 ギルティン「ヤメロぉお!」
 ロロ「ヤメなぁ〜い」

 ロロは軽く息を吸い込んだ。
 ロロ「"転身如律令パラレルダンス"」

 まるでそこから切り取られたように忽然と姿を消した、肉塊と、
 トウジロウ「あ?」
 ウランド「……しまった」

 ついでにロロの姿がない。

 ウランド「空間転移の法術だ、逃げられた」
 トウジロウは馬鹿にしたように鼻で笑い、ギャアギャアと喚き散らすギルティンの首を「黙れ」と蹴りつけた。
 トウジロウ「ご愁傷さま〜俺とリケはんの仕事は成功やけどな」
 ウランドは外へ急いだ。

 ◆

 雨を降らせていた雨雲は水を打ったように大人しく、雨上がりの湿った風が皮膚の上の温もりを持ち去って行く。

 岩山の頂上。
 見え隠れする月明かりを受け、小さく丸まる寂しそうな背中。
 沈んだ空色の瞳は眼下の町灯りをぼんやりと眺めていた。

 背後から音もなく現れたオリーブ色の瞳。
 フー「……螺羅ロロ」

 微動だにしないその背中を見つめながら、フーは静かに札を胸に当てた。
 フー「"白瞼如律令"」
 ロロ「フー」
 あと少しで、白虎の爪が届くところだった。

 ロロ「積み木をまた積まなくちゃ。桃花源(※)には、本当のおれはない」
 ※ロロとフーの祖国。
 フー「……ガキみてえなこと言ってんじゃねぇよ。みんな自分の居場所のために、いちいち"本当の自分"になんか、四六時中目を向けてる"暇"ないんだ。積み木遊びの"暇"なんてない、犯した罪を償いな」

 相変わらず微動だにしない背中、それはどこか疲れた様子だった。ロロは薄ら笑いを浮かべた。
 ロロ「おれに罪を償わせるのは、お前が桃花源、道士協会での"居場所"を守るためだろ? どいつもこいつも自分ばかり。人の能力や親切を汚い足で踏み台にする」
 フー「……螺羅?」

 ロロ「人に疲れた。だから壊したい。おれの居場所は"黒い三日月"だ」

 そして、力無く横たわった。フーは慌ててロロを抱き上げた。
 ロロ(やっぱ墨汁あれじゃ足んなかったか……)
 白虎の真っ白な手に滲む真っ黒の墨汁。フーは瞳を見開いた。

 フー「……螺羅、あんたまさか」
 ロロ「キョンシーだよ。法力込めた墨汁体内に流し込んで駆動すんの」

 ――キョンシー。桃花源国の神使教の僧兵である道士が使役する、死体や人形などの依代に魂魄を入れ込んだ法術生物。その製造は内外の神使教徒から批判を受け、現在では衰退しつつあり、数十年前には邪法と認定された術。

 ロロ「肉体との関係を絶ってるから、おれの法力が尽きない限り半永久的に生き続けることができる」
 フー「……自分で自分の魂魄を引っこ抜いて自分に入れ込む? んな馬鹿な話……そうか、あんたの術に魂魄操作系のえげつないラインナップがあんのはその副産物か何かだな」

 ロロ「まあ、よかったじゃん、福。お手柄だね」
 フーは悲しげにロロの頬を撫でた。
 フー「こんな骨のない稀代の天才道士様、捕まえてもなんの自慢にもなりゃしねぇ。ショボい捕まり方しやがって」

 そんな"ショボい捕まり方"をしたのはギルティン確保に手を貸したからだ。この男は先が計算できないような馬鹿ではない。先ほど呟いていた"能力"と"親切"を踏み台にする、という言葉が、フーの頭について離れなかった。
 フー(……あなたは本当はどういうひとなの……?)

 そのようなことを考えていると知ってか知らずかロロはいつもの薄ら笑いを浮かべた。
 ロロ「かわいそうでしょ? だったら見逃して?」
 フー「馬鹿言ってんじゃないよ……」


        


 それから小一時間。

 トウジロウ「デートでけへんで残念や」
 フー「時間がないんじゃしょうがないね」
 後ろからトウジロウを急かす隊員の声。リケが乗せられた担架の周りには白衣を着た大勢の魔導師たちが取り囲んでいる。
 トウジロウ「おい、せやからてお前が手ぇ出すなよ」
 ウランド「とっとと行け、リケさん待たせるなよ」

 そしてリケは救急搬送され、それに便乗したトウジロウもギルティンの首を本部へと運んでいった。
 ウランドはカグヤと相談の上、ロロ・ウーの護送について、道士協会の使者であるフーと結論を出してから後を追う手筈となった。

 ホテルの一室。カーテンの閉め切られた個室の真ん中には、凶暴な犯罪魔導師用の、一切の精霊操作を遮断する真っ白な拘束衣を着せられ、椅子に法術の込められた縄と札でぐるぐる巻きにされた状態で静かに目を閉じているロロ。それを囲むように並び、ウランドとフーは結論を整理していた。
 ウランド「……拘束衣はお貸しいたします。ロロ・ウーの身柄は道士協会殿にて処分ください」
 フー「……いいのかい? あんたの仕事は」
 ウランド「ええ。魔導師犯罪以外はオマケのようなものですからね。……今回はいい感じに苦戦させられましたので、楽しかったですし」
 呆れたとフーは溜め息をついた。そしてロロにを見下ろした。
 フー「今日はもう疲れたから寝る。久々の里帰りは明日だ、楽しみにしときな」
 ロロはピクリとも反応を示さなかった。

 部屋を出ると、フーはウランドを見上げ、口を開きかけた。だがその前に口を開いたのはウランドだった。
 ウランド「明日何時? 帰るの」
 フー「……帰ってもまた間髪入れずに任務だからな、のんびり昼くらいから護送を開始するよ。あのさ、」
 ウランド「護送の前に、時間をいただけませんか、30分ほど」
 フー「……ん」


        


 丁度その頃、ファリアス港の沖合いで漁をしていた漁師たちはそろって目玉をひんむいた。
 「こんなところに断崖なんてあったかあ?」

 島のような巨大な物体が、港に向かい、流れていく。暗くて漁火だけではそれが一体なんなのかわからなかった。そしてそのてっぺんからはなんと人の声が聞こえた。

 「おらーっ! てめぇの全速力はこんなもんかーっ」
 ガヤガヤと喧しいダミ声に"島のように巨大な物体"の正体、巨大亀はうんざりだとそっぽを向いた。

 その様子にダミ声の主は銀髪の間から覗く赤黒い瞳で睨みつけた。
 「こんのクソ亀! 食っちまうぞ!」

 「おおおやめくださいましっ! フィードさまっ!」
 黒髪おかっぱ頭の少女の慌てた声が暗闇に響いた。

 少し遅れて、サラサラとした金髪の長い髪を垂れさせ、重苦しい溜め息をつくエルフの青年は心底うんざりした様子で二人のやり取りを眺めていた。
 「そのやり取り何回目だっけ……君たちよく飽きないね」

 間髪入れずに、少女の腕の中の丸々とした黒猫の、自信に満ち満ちた声が響いた。
 「そりゃよしのちゃんがかわいいからなっ! 飽きるわけないだろクソエルフ」

 「おいちょっと、あんたたち!」
 アジサイ柄のド派手なワンピースに身を包んだ紫色の髪の老婆の嗄れた声が鋭くこだました。

 一行が正面に目を向けると、そこには大きな港町が広がっていた。

 赤目は疑わしそうに亀に視線を向けた。
 「おい、ほんとにあれがファリアス港なんだろうな?」
 巨大亀は今度は逆方向にそっぽを向いた。
 「てんめ〜〜っ!」
 「きっと大丈夫ですわ、ご親切な亀様でしたし」

 エルフは老婆を背負った。
 「ほら行くよ! 君はよしのさんをお願いね」
 「亀様! 送っていただいて本当に助かりました! ご恩は忘れません!」

 エルフと赤目は魔導師の超人的な跳躍力で亀の背中から踏み切ると、ひらりと港の先端へ降り立った。亀に向け手を降るおかっぱ頭の少女を背中に、赤目はニヤリと不敵に笑うと指をゴキゴキと鳴らした。

 「さあて、まずは"黒い三日月"のリーダーサマだな!」


        
        
        
KT … カイセツ(K)とツッコミ(T)
      またの名を
      カユイ(K)ところにテ(T)がとどく


      
       
p.1    ■トウジロウとウランド
    二人は兄弟のような感じです。
    心の奥底ではトウジロウはウランドを尊敬、ウランドはトウジロウを弟のようにかわいく思っています。
    そんなきっかけになるエピソードもあったりしますが……、まあ、気が向いたら載せます。
       

p.3    ■九千年前
    この話のキモだったりします。以前どこかに話を出したキモ無きにしも非ず。。そのうち出します。

       
p.7    ■首だけあればいい
    こわ!


p.8    ■奈落転心如律令の完全封印
    たとえばアラジンのジーニーはランプの中にいますよね。
    この術は、その人をその人自身の中に閉じ込めてしまうということです。
    物と違い、外的要因(ほかの人)が手を出せない、だから完全封印と言っています。
    以前同じ術をギルティンにかけた時、魂魄のバランスが云々いってましたが、
    今回は自活動できないミンチに対するものだったのでロロもギルティンの(ミンチ部分の)魂魄バランスを把握できました。


p.10   ■ついに登場
    主人公一行、約半年ぶりの登場です!!。
       
       
       2012.4.7
        KurimCoroque(栗ムコロッケ)