9.1.still waiting prev next
back

 「この」世界で触れてはいけないことは2つ

 一つはこの世で二匹だけ。SSS級のクリミナル・モンスター

 「"牙の暴君"オドント・ティラヌス」

 「"堕ちた魔導師"ルガト」


 もう一つは殺し屋とは名ばかり

 「"殺人鬼"ベルセルク」



 だが、こいつらにさえ出くわさなければ

ロロ


 裏社会ここはパラダイスだ。




 「ウーさん」


 ワッチキャップを目深に被り、左に3つ、右に2つ、鼻にピアス。ローライズのジーンズで気だるそうに中空を見つめる虚ろな瞳、深く刻まれたクマ――ロロ・ウーは覇気のない声で口を開いた。

 ロロ「……どうした?」

 「ここ最近ムー大陸のほうで魔導師を名乗る"同業者"が勢力拡大してるらしいですよ」

 虚ろに中空を見つめたまま、ロロはニヤリと笑った。

 ロロ「へぇ」

 「なんでも"免罪符"とかいう名前で売り出してるとかで」

 ロロ「免罪符か……そいつはいいな」

 そして両肘をソファの背もたれにかけ、ふぅと軽く息を吐いた。




 ロロ「面白ぇ」

 誰であろうと、おれの"パラダイス"を汚すやつは許さねえ。

 早く来いよ、"同業者"。

 このパンゲア大陸で歓迎してやるから。

 ロロは再び虚ろな瞳を中空に戻した。






―――  黒い三日月(still waiting) ―――





2009.11.14 KurimCoroque(栗ムコロッケ)
2012.7.2(改)