よしの「困りましたわ」
エオル「どうしたの?」
よしの「クリスちゃんが見当たらなくて……」
エオル「また? どーせまたフィードが枕にしてるんでしょ」
フィード「ん? どうした?」
よしの「クリスちゃんを御存じありませんか?」
フィード「ああ、さっきまで枕にしてたぞ」
エオル「ほらね」
フィードは「ほらよ」とよしのにクリスを投げ渡した。
よしの「よく枕にされてますね」
フィードは首をゴキゴキと鳴らし、ダルそうにあくびした。
フィード「ああ……なんか高さがちょうどよくてな」
エオル(首あきらかに凝ってるけど……)
よしの「そうですか」
フィードが去ったあと、よしのはクリスを撫でながら、ふと、あることに気づいた。
よしの「……」
あきらかに、クリスの背中の毛が薄くなっている。
よしの「エオル様!」
エオル「はい?」
よしの「クリスちゃんに代わるフィード様の枕を探しましょう!」
エオル「あいつ専用の枕ね……買うのは荷物になるからナシとして、今あるもので何とか……」
よしの「これを丸めたらいかがです?」
――野宿用のブランケット
エオル「2枚しかないからちょっと……」
よしの「ではこれ」
――フィードがどこからか持ってきた札束
エオル「それはちょっと……イヤかも」
よしの「でしたらこれなんて……」
――荷物がパンパンのバッグ
エオル「いよいよホントに首痛めそうだよ……」
フィード「何やってんだよお前ら」
エオル「本人に聞くのが一番いいんじゃない?」
よしの「そうですね! フィード様! 私たち、クリスちゃんに代わる枕を探しているのです」
フィード「クリスに代わる枕ぁ!?」
よしの「でもなかなか見つからなくて……」
そうだな、とフィードはあたりをグルッと見まわし、よしのに視線を戻した。
フィード「じゃあこれでいいぞ」
フィードが指差した先には、その指先を不思議そうな顔で見つめる、よしの。
よしの「?」
フィード「ひざまく」
言い切る前にすかさずエオルがフィードの頭を思いっきりひっ叩いた。
エオル「よしのさん本気にするでしょうが!」
フィードはふざけた口調で答えた。
フィード「おれさまもほんきだ」
エオル「君に直接聞くのは一番の間違いだったよ!」
――― the most mistake(閑話) ―――
2009.10.10 KurimCoroque(栗ムコロッケ)
2012.5.30(改)