10.1.Adagio prev next
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うざいwww

 いつになく神妙な面持ちで、ロロは尋ねた。

 ロロ「……どうしても行くのか」

 問われた取り巻きは申し訳なさそうに答えた。

 「ええ……すみません、ウーさん」

 ロロの声が一層低くなった。

 ロロ「どうしても行くというなら、おれを倒して行け」

 取り巻きは慌てた。

 「何言ってるんですか、そんなこと、できるわけがないじゃないですか」

 ロロは顔をゆがめた。

 ロロ「……なんだ、できねぇなら、なんで……」

 「すみません……どうしても行かなければならないんです」

 取り巻きはロロに背を向けた。




 「……あの……ほんと、すぐ戻るんで。ただの夕飯の買い出しですから……」

 ロロ「だめだ! 1秒たりともおれの眼の届かないとこに行くなんて!」

 (はぁー!? 何言ってんの!? この人!)

 べつの取り巻きが慣れた手つきでロロを引っ張った。

 「はいはい、ウーさん、あっちで新しい紅茶開けましたから!」

 (ほら! 今のうちに!)

 (助かる!)

 買い出しの取り巻きは振り払うように全速力で走り去った。

 ロロ「新しいって……アレか! やっぱおれの趣味をよくわかってんなぁ! ……っておい! どこに行く!?」

 「すぐ戻ってきますからー!」





 その様子を遠く物陰から見つめる影――

 「あれがロロ・ウー……探したぞ、"転乾道テンケンドウ"」






―――  黒い三日月(Adagio) ―――





2010.1.9 KurimCoroque(栗ムコロッケ)
2012.8.13(改)