22.cage garden back



頂点を下り始めた月。
月明かり揺らめく水面。
寄せては返す波音。



―――― cage garden(the latter part)(かごの庭(後編)) ――――



訪れた漁村の端、簡素な木造の公民館。
男たちの荒々しいイビキ。
ガチャガチャと食器を重ねる音。

女の一人が言った。
「いいよォ、お客さんなんだから」
よしのは笑った。
よしの「いいえ、お世話になりますし」
女はよしのの顔を見つめた。
「本当ザルだね、あんた」
よしの「ザル?」
「それに比べて、あんたの旦那はだらしないねェ」
よしの「旦那?」
女は部屋の角で雑魚寝する"トドの群れ"に目をやった。
屈強なオヤジたちに混じって、真っ赤な顔で腹を出して寝息をたてるエオル。
よしのもつられて目を向けたが頬を染めて慌てて俯いた。
よしの「だだだ旦那様ではありません!」
女はキョトンとよしのを見た。
「え? ハネムーンじゃないの? でなけりゃ男女二人旅だなんて」
よしの「二人ではなく(クリス含め)四人です」
女は首をかしげた。
「あんたと旦那と、あすこでうちの娘にじゃれついてる黒タヌキと……もう一人は?」
よしのは「あら?」と首をかしげた。

ちょうどその時だった。
ソロリと公民館の出入口が開いた。部屋に籠った酒気が流れる。
女たちは出入口に視線を集めた。
そこには一人の少年。少年はどうにも気まずそうな顔をしていた。
女の一人が訊ねた。
「どうしたんだい、もうとっくに寝てる時間だろ」
少年は恐る恐る口を開いた。
「トゥートが……」
「え……」



        



「ひっく、えぐ、ひっく」

イビキとすすり泣きが響く。岩壁をくりぬき、鉄格子を取り付けただけの簡素な牢獄。
部屋のど真ん中でグッスリと眠っていたフィードの鼻提灯が割れた。
フィード「んが?」
ボリボリと腹を掻き、背伸びをしようとし、それを両手にはめられた手錠の鎖に遮られた。
そうしてばつの悪そうに、上体を起こしながらヨダレを拭った。同時に腹がなった。
フィード「腹減った」

「ひっく、ひっく、えぐ」

フィードは部屋の角ですすり泣くトゥートを見た。
フィード「てめー、まぁーた泣いてやがんのか」
トゥート「……だっ、だって、ひぐ、もう、オェ、ダメじゃん……ひっく」
フィード「何言ってっかわかんねーぞオラァ」
ジリジリと詰め寄るフィード。トゥートは昼間の"乱暴な泣き止ませ"を思い出し、なかないように口を硬くへの字に曲げた。
フィードがトゥートの両足を掴んだ時だった。再びフィードの腹が鳴った。
フィードはトゥートの足を離した。
トゥート「いてっ!」
フィード「腹減った、そろそろ出るかあ」
トゥート「はぁ?」

フィードは息を思いきり吸った。
フィード「たいへんだあぁぁあ!」
少しして、バタバタと複数人が駆けつける足音。
トゥート「あわわ!何してん、」
慌てて向けたフィードがいたはずの場所にフィードの姿はなかった。
トゥート「あれっ?」

薄汚い熊のような大男たちが三人、憤怒の形相で現れた。
「大声出してんじゃねぇ」
トゥート「ひぃっ!」
男の一人が言った。
「ん!? "女"の方はどうした!」
トゥートはわからない、と首を横に振った。
男は「そんなわけないだろ」と凄んだ。
トゥートは泣きながら激しく首を振った。

男は檻を開けた。
そうしてトゥートを問い詰めようとズンズンと近づいた。
トゥート「ひいいい」

どすっ

突然男の肩に降ってきたものの重みで、男は思わず前のめりに体勢を崩した。
倒れ込むギリギリのところを足でこらえ、何事かと上を向きかけた時だった。

フィード「よう」

肩車をする形でフィードが男の肩に乗っている。
「てめ……」

ゴキッ

フィードは両足で男の首を締め上げた。
男は白目を剥いてドスンと気絶した。

トゥート「え? え?」
トゥートはフィードと天井を何度も見た。フィードはパンパンと手を払った。
岩壁の天井、岩の凹凸に指を入れ、天井にへばりついていたらしい。余程の筋力がないと出来ない芸当だった。

「このクソアマァ!!」
男が二人、剣を手に檻に乗り込んできた。
トゥート「うわぁーっ!!」
フィードはニヤリと笑った。
フィード「俺様は今、腹減ってんだ、機嫌悪ぃぞ」




檻の中にはぐったり横たわる三人の男。
フィード「よしっ! 食い物探しに行くか!」
トゥート(逃げるんじゃなくて!?)
トゥートはすぐ隣で倒れている男たちを見た。とたんに手足が震える。

トゥート「あ、危ないよ……」
すでに檻から体半分出ていたフィードはトゥートを振り返った。
フィード「あ?」
トゥート「だから、外にはもっとたくさんの海賊たちがいるんだよっ! 危ないよ!」
フィードはトゥートの隣で横たわる三人の男たちを指差した。
フィード「このままここにいたほうが危ねぇと思うけどな」
トゥートはギクリとした。
トゥート「だだだだってっ! 大人しくここにいたら怒られると思うけどっ! 外に出たら殺されちゃうかもしれないだろっ!」
フィードはイライラと頭をかきむしった。
フィード「あーもー、めんどくせぇ、てめぇで決めろ」

トゥート「え」
トゥートは血の気が引いた。

フィード「だから、死ぬまでここにいるか、今逃げ出すか、てめぇで決めろっつってんだ、俺様は知らん」
そう言うとフィードはズカズカと檻から出ていってしまった。
トゥートは隣でぐったりと横たわる男たちと、フィードが出ていった方を何度も交互に見た。
トゥート「どうしよう……どうしよう」
内臓がひっくり返りそうなくらい心臓がバクバクと鳴っている。
その時、フィードがひょっこりと現れた。
トゥート(迎えに来てくれた!)
フィードはイライラしながら独り言のように呟いた。
フィード「行き止まりだった」
檻から出ると道は左右、確かに、フィードが進んだのは海賊たちが現れたのとは逆の方向であった。
フィードはそのままトゥートに見向きもせず、ズカズカと立ち去った。
トゥートはボタボタと涙と鼻水を垂らしながら立ち上がった。
トゥート「待ってよぉ! 置いていかないでよぉォ!!」



        
        
        

点々と松明が焚かれた洞窟。
おそらく舟で通り過ぎた三日月形の島の、あの岩山の中なのだろう。
殆ど人の手の加わっていない天然の岩肌、ゴツゴツとした足場で、トゥートは何度も足を捻った。
トゥート「待ってよぉ」
フィードはズカズカと淀みなく先を行く。
トゥート(出口わかってんのかな……?)
ふと、頭上が開け、トゥートを白い光が照らした。トゥートは頭上を見上げた。
まるで吹き抜けのようにぽっかりと穴が開き、この海賊島と同じ形の三日月がトゥートに笑いかけている。

人の気も知らないで

トゥートはフィードの後を追った。



「あいつら戻りが遅いな」
パチパチと響く松明の弾ける音。
毎晩の飲めや騒げやの宴が終わり、パラパラと寝室に戻り始めたところだった。
宴会場の奥で派手な装飾の椅子に腰掛け、ポツリと呟いたその男の言葉に、その場の全員が足を止めた。
「そういえばそうだな」
「ちょっと見てくるわ、親方」
派手な装飾のターバンを頭に巻き、長いふわふわのカールがかった髭を蓄えた熊のような大男
――親方と呼ばれたその男は組んでいた足を組み替え、部屋の角に目を向けた。
「まあ待て、"あの女"、魔導師だって話じゃないか」
親方に視線を向けられた、白髪の腰が曲がった中年男性は残っていた酒を瓶からあおった。
「精霊に動きはない、魔法はつかっていないよ、いやそれ以前に使えないよ、"あの手錠"をしているかぎりね」
親方は満足げに髭ををなで、ニヤリと笑った。
「よし、野郎ども、ちょっと見てこい」



        
        
        
        
        
フィード「おっ! あったあった」
トゥート「出口!?」

二人の目の前には生唾沸き起こる香りに包まれた――
トゥート「キッチン?」
奥には複数のコンロ、それぞれの上には大小様々な鍋。
フィードは何のためらいもなく奥へ進み、鍋の中を覗いた。
フィード「……」
フィードは次々と鍋の蓋をひっぺがしてゆく。
トゥート「なに? 何やってんの!?」
フィード「……残ってねぇ」
トゥート「はい?」
そうして最後の鍋に目を向けたと同時に、フィードの視線はシンク下へ向いた。
トゥート「あっ」
気まずそうにフィードを見上げる丸々とした少女、海の主に餌をやっていた少女だった。
手にしている碗には鍋の残りらしき物。少女はそれをかきこむとポヨンと立ち上がり、くるりと背を向けた。
そうして走りかけたところでフィードに襟首をつかまれ、子猫のようにぶらんとつり上げられた。
フィードは少女に顔を近づけた。
フィード「食いもんよこせ」
トゥート「出口聞くんじゃなくて!?」
フィード「え? あ〜じゃあ、あとついでに出口教えろ」
トゥート「ついでって……」

がぶっ

少女はフィードの尖った鼻に思い切り噛みついた。
フィード「ぃい゛ってぇ!!」
フィードは思わず少女の襟首を離した。
少女はどてんと尻で着地するとシンク下の戸棚を開け、包丁を取り出した。
フィードは歯形のついた鼻を押さえながら涙目で少女を睨んだ。
フィード「てんめぇ〜!!」

少女は叫んだ。
「"ぬっしー"を殺した!」

フィード「はあ?」
「"ぬっしー"のカタキ!!」
少女は包丁を振り回しながらフィードめがけ走り出した。
フィードは易々と包丁をもつ少女の手を掴み、そのまま再び吊り下げる形で持ち上げた。
それでも少女はジタバタと暴れた。
トゥート「……もしかしてさ、"ぬっしー"って"海の主"のこと?」
少女は声を張り上げた。
「そうだ!」
フィードは笑った。
フィード「ギャハハハハ!! ダッセェネーミング!!」
少女は涙目でフィードを睨み付けた。
トゥート「……じゃあお前だったら何てつけるんだよ」
フィード「ん? そうだな……スーパークロスファイア12号」

トゥートと少女は同時に声をあげた。
「ダッセェ!!」
トゥートと少女は顔を見合わせた。


「キッチンから声が聞こえるぞ」
「あっちか」
野太い男たちの声。トゥートは慌ててフィードに駆け寄った。
フィードは手錠をガシャガシャと鳴らし、ニヤリと笑った。
フィード「よし、あいつらに飯作らせるか」
トゥート「出口を聞いてよ!」

「見つけたぞ!」
フィード「おおっとぉ!」
フィードは少女を抱き上げた。
「リリー!」
「てめぇ! リリーを離せ!」
トゥート「ちょっと! こっちが悪者みたくなってるじゃん!」
フィード「ギャハハハハ! このガキの命が欲しくば……」
海賊たちは身構えた。
トゥート(絶対飯作れって言う!)
トゥートは海賊たちを見た。

フィード「飯、」
トゥート「でっ出口を教えろ!」

フィードはトゥートを見下ろした。

ごん

トゥートは頭を押さえてしゃがみこんだ。
フィード「勝手に言ってんじゃねぇよ」
トゥート「いたい〜〜」
フィードはため息をついた。
フィード「出口まで"案内"しやがれ、あと船よこせ」
海賊たちはニヤニヤと笑い、武器を構えた。
「魔法が使えなけりゃ」
「魔導師もただの人」

リリーはどさりとフィードの腕の隙間から落ちた。トゥートはリリーの元へ駆け寄った。
トゥート「大丈夫!?」
フィードはボキボキと指を鳴らせた。
フィード「魔導師は魔法だけじゃねぇって教えてやるよ」

「うごくなっ!」
フィード「あ゛ん?」

リリーはトゥートの首元に包丁を押し当て、フィードを睨み付けた。

首に当たる刃物の感覚、当たっているだけだが、ヒリヒリする。
この少女の頼りない手が少しでも動けば終わる、自分ではどうしようもない、他人に全く委ねられた自分の命――
トゥートはただ、じっとしていることしか出来なかった。
トゥート「いやだ……こわい……やめてよ」

フィード「……」

海賊たちは笑った。
「万事休すだな、魔導師」



        



フィード「……おい」

リリーは身構えた。

フィード「他人に刃物むけるってこたぁ、覚悟ができてやってんだろうな」
リリーはフィードの発言の意図がわからず、思わず手を緩めた。
トゥート「うわああ!」
トゥートはリリーの腕を引き離し、リリーから離れようとした。
もみ合うと同時に包丁が揺れる。

バシッ

フィードが蹴りあげたリリーの手から包丁が弾かれ、カラカラと音を立ててキッチンの端まで転がった。
リリーは蹴られた手を押さえた。
リリー「痛……〜〜〜!!」
トゥートはヘナヘナとへたりこんだ。

海賊の一人が叫んだ。
「てめぇ! 相手はガキだぞ!!」
リリーの首根っこを掴み、フィードは見下ろすように冷たい視線を海賊たちへ向けた。
フィード「不必要に他人の命脅かしてんのに、大人もガキも関係ねぇ。」
海賊たちは武器を構え飛びかかった。
「リリーを離せ!! クソ魔導師ぃぃぃ!!」
フィードはため息をついた。
フィード「あー……クソ、腹減ってんだよ」

フィードは海賊たちの振るう武器の隙間をスルスルと掻い潜り懐に潜り込むと、
先ず一人目の鳩尾を掌底で、
横から武器を振り上げた二人目の足を払い体勢を崩してこめかみに脚、
向かってきた三人目をバック宙からの蹴りで顎に、
バック宙の着地を狙ってきた四人目の武器を手錠の鎖で受け、クルリと捻って体勢を崩した所に鳩尾へ蹴り、
そうして後ずさる最後の五人目の首に手錠の鎖を押し当て壁際まで押しやった。
フィード「なんだ、道案内立候補か? 優〜等〜生」
五人目の海賊は武器を捨てて何度も頷いた。

トゥート「だ、大丈夫?」
震える右手を押さえ、泣きじゃくる少女に、トゥートはどうにかしなければと思っていた。
トゥート「み、見せて?」
そっと離した左手から現れたのは親指の付け根が内出血したふくよかな右手。
トゥート「つ、つきゆびかな……」
トゥートはポケットに手を突っ込んだ。取り出したのはハンカチ。いつもお母さんから出掛ける時はポケットに入れるよう言われていた。
シンクの蛇口を捻り、ハンカチを湿らせると少女の手に当てた。
リリーは涙の零れる目をトゥートへ向けた。

トゥート「大丈夫、大丈夫」
トゥートは少女の頭を撫でた。
フィード「オラァ行くぞモヤシメガネ」
トゥート「なんでそのあだ名知ってんだよバカーッ!!」
残った海賊の胸ぐらを掴みズカズカと出ていくフィードを、慌ててトゥートは追いかけた。

リリーと寝転がる海賊たちだけとなったキッチンは静かになった。
リリー「……」



        
        
        
  
フィードに胸ぐらを引っ張られよろめく海賊に、右へ左へと案内され、たどり着いたのは
フィード「あん?」
足の踏み場もなく食器や酒瓶が散乱する広間。トゥートは何かの暴動の後ではないかと思った。

「なにしてやがる」

奥に置かれたド派手な椅子から悠然と見つめるひげ面の熊のような大男。
胸ぐらを掴むフィードの手を振り払い、海賊は大男の元へ駆け寄った。
「親方ぁ! やられました! あいつ強いッス!!」
親方と呼ばれた大男は立ち上がった。
「表へ出やがれ、俺が直々におとなしくさせてやる」
フィードの額に青筋が立った。
フィード「ああ!?」

トゥート「表に出してくれるまででいいんだけど……」

「親方!」
屈強な海賊たちがぞくぞくと広間に集まりだした。
トゥート「ひぃっ!」
トゥートはあわてて部屋の隅に身をかがめた。

フィード「ハン、わざわざ外出なくったって、」
フィードはニヤリと笑って地を蹴った。
フィード「この場で大人しくさせてやんよ!」
トゥート「ちょっとー! 外まで案内してもらおうよっ!!」
このケンカをわざわざ買う必要があるのか、この魔導師は自分のその時の感情のまま、寄り道しすぎだ、とトゥートは思った。
以前住んでいた街の役場にいた魔導師は、もっと効率を重視する知的な人だった。

フィード「おらぁ!」
フィードの強烈な飛び蹴りを親方の太い腕が受け止めた。
その腕はみるみるうちに黒く短い体毛に被われ、爪が伸びた。
親方はニヤリと笑うと真っ黒な拳をフィードの頬にぶちこんだ。
フィードはそのまま壁に突っ込み、ガラガラと崩れた壁の瓦礫に埋もれた。

親方は肩をすくめた。
親方「ほれ、見ろ、表へ出たほうがよかったろ?」
トゥートは血の気が引いた。人を吹き飛ばし壁をも破壊するほどの力――人間じゃない。
フィード「なるほど獣人か」
瓦礫の中からフィードはむくりと起き上がった。

親方「……頑丈なやつだ」
隆起した肩、太く長い腕、天井につかんばかりの黒い巨体――熊人間だった。
身体能力について、"獣人のような"、"獣人のように"など何かと比較される魔導師。
魔法が無ければ、一般人と言えど獣人は魔導師と互角あるいは、
親方「俺はお前より強い」
両の拳をガツンと突き合わせて、さらに追い討ちをかけるべくヅカヅカとフィードの元へ歩を進めた。
フィードは立ち上がると静かに構えた。
その目は爛々と輝いている。
フィード「ガルフィンのオヤジよりでけぇ獣人、初めて見た」
ニヤリと笑うと、再び地を蹴った。
親方「ん?」
構えから駆け出しまで、先ほどの身体能力に物を言わせた動きとはまるで違う――正式な格闘技の型にそった流れるような動き。
親方の繰り出した拳を手にとるとそのまま受け流し、体勢を崩したところで軸足の関節を取り、引き倒した。
親方の口からうめき声が漏れた。
追い打ちをかけるため振り下ろされたフィードの足を確と掴むと、黒い巨体はむくりと立ち上がった。
フィードはそのまま吊し上げられる形となった。
フィード「いっ!?」
そして、ぐるんと振り回されそのまま地面に叩きつけられた。
トゥート「ひぃっ!!」
フィードは動かなくなった。



        



親方はニヤリと笑うとフィードを思いきり壁に投げつけた。再び壁がガラガラと崩れた。

トゥート「あわっ……う、うさぎさん!」
トゥートは慌てて駆け寄った。

親方「檻にぶちこんどけ」

フィードは瓦礫の中からむくりと起き上がった。
フィード「あーびびった、一瞬トんだ」
垂れた鼻血を啜ると、フィードはニヤリと笑って親方を見た。
フィード「いいこと思いついた! お前、海賊なんだろ」
親方はいきなりなんだと鼻で笑った。
親方「だからどうした」
フィードは再び静かに構えた。
フィード「負けたらパンゲア大陸まで船だしやがれ」
親方は笑った。
親方「なんだあっちに出たいのか」
そうしてボキボキと指をならし地を蹴った。
親方「やってみろ、だがてめぇは"ぬっしー"のカタキだ、手加減しねぇぞ!」

トゥート「わっ!」
いきなりフィードに突き飛ばされ、トゥートは何するんだよと起き上がった、その目の前で

ズガァン!

山のような黒い巨体とその拳がフィードがいるはずの部分に突っ込んだ。

トゥート「うさぎさんっ!!」

親方「む」
黒い拳を、手錠の鎖で白刃取りのように受け、そして横に流すと、すかさず拳を繰り出した右腕の関節を取る、
親方「いって!」
黒い巨体は肘におかしな方向の力を加えられ、思わず膝をついた。
そして膝をつき、射程圏内に入った親方の顎にフィードの足が炸裂した。
親方の視界はグルンと回った。
フィードは人差し指を天に突き出し、勝ち誇った。
フィード「イェーイ」

魔導師養成学校には各スペリアルマスターがそれぞれに専門とする格闘技を学ぶ"ゼミ"がある。
そのうち徒手格闘技は2つ、主に自分の力を使う格闘技のガルフィンゼミと、主に相手の力を利用する格闘技のユディウスゼミ。
フィードはそのうちのユディウスゼミ出身であり、力に物を言わせる戦い方ではなく、間接技や急所攻撃など相手の体を利用する戦い方を専門としていた。

「親方!」
周囲で観戦していた海賊たちはぐったりして動かない親方に駆け寄った。

次にフィードは部屋の角にポツンと座る中年の男を指差した。
フィード「おらぁ! てめぇ魔導師だろ! さっさとこの手錠外しやがれ」
中年の男は陰気な笑みを浮かべた。
「お前……"火葬屋"だろう?」
フィードは目を輝かせた。
フィード「おっ! 俺様もついにそのカッコイイあだ名で呼ばれるようになったか!」
「バカだろお前、ヒヒッ」
フィード「あ゛ん?」

中年の男は酒瓶に残っていた酒を飲み干し、口を拭った。
「お前のせいでトランプが来る、俺はここをオサラバさせてもらうよ」
フィードは「ふざけんな!」と男に殴りかかった。

「時空歩ミ・スティーフ」

拳が届こうかという瞬間、男の体は蜃気楼のようにユラリと揺れ、すぅっと消え去った。
フィードは舌打ちした。
フィード「チッ、"補助魔法使い"か……」

手元にズシリとまとわりつく白い手錠。
フィード「んがあぁあ!」
近くの岩に何度も叩きつけるがびくともしない。
フィード「ハァ……まあ、そのうちなんとかなんだろ」




海賊のアジトの外、点々と道に沿って灯る松明を背に、中年の魔導師は海賊船を目指し岩場を急いだ。
ちょうど、角を曲がりかけた時だった、誰かにぶつかり、尻餅をついた。
目の前には金髪の長い髪、その手には剣。金髪はにこりとさわやかに微笑んだ。
「ちょうどよかった」




「おいこら! 魔導師!」
野太い男の声に呼ばれ振り向くと、親方の周りに集まっていた海賊たちが一斉に武器を構え、そのうちの一人の腕の中には、刃物を向けられ硬直するトゥート。
「てめぇ! やりやがったな!」
フィード「それはこっちのセリフだ! バカヤロー!」
海賊たちはフィードの手元の白い手錠を見た。
「ハン、てめぇは"ぬっしー"を殺した! 当然の報いだ」

フィードは鼻をほじって渇いた笑みを浮かべた。
フィード「ハァ? 何言ってやがんだバカか」
「何だと!」

鼻から出た血の塊をピンッと飛ばすと、顎をあげ、海賊たちを見下ろした。
流血に配慮して白黒
フィード「そういうてめぇらの"ぬっしー"は、何人殺していやがんだ」

「そりゃあてめぇ! 村人脅すにはそれなりの……」
「おい!」
言いかけた海賊は思わず口を押さえた。
フィードはニヤリと笑った。
フィード「村人怖がらせて金巻き上げんのに、大事なペット使ってたんだろ?
     それをなんだ、棚にあげて被害者ぶってんじゃねーよバーカ」

「このヤロウ!」
海賊の一人が殴りかかった時だった。
「やめて!」
甲高い少女の声。
部屋の入り口にはキッチンで遭遇した恰幅の良い少女。
「リリー」
リリー「……お金まき上げるのに"ぬっしー"をつかってたってどういうこと……?」
海賊たちは慌てた。
「ち、違うんだリリー」
リリーは目に涙を浮かべ尋ねた。
「なにがちがうの?」
「えーと……」
海賊たちは困り果てたと互いに顔を見合せた。



        



親方「リリー」
数人の海賊たちに支えられ、親方は上体を起こした。
そうして周囲を見渡すよう手のひらを向けた。
親方「俺たちがたらふく食うには金がいる」
そうして次に仲間たちを見回した。
親方「昔みたいに船を襲えばいいが、仲間の犠牲も覚悟しなきゃなんねぇし、逮捕されるかもしんねぇ」
最後に、親方はリリーを見つめた。
親方「仲間との生活のためには楽に安全に金を稼ぐ必要があった、それにお前が拾ってきた"ぬっしー"は最適だったんだ」

冒険者に親を狩られ、自身もひん死のケガをしていた小さな海竜を、かわいそうにと看病した。
父である海賊の親方に「海竜は海の主である」と聞かされ、海の主という意味は分かっていなかったが"ぬっしー"という名前を付け、かわいがった。
そんな"ぬっしー"を悪いことに利用していたなんて。
リリー「わあああん!」
大声をあげ、リリーは泣き出した。

フィード「そんな甘ったれた考えが賢いとでも思ってんのか?」

親方「あ゛ん? なんだと?」
ズンズンズンとフィードは真っ直ぐ親方に向かって歩みよる。
取り押さえようと飛びかかる海賊たちをなぎ倒し、親方の目の前でピタリと立ち止まると片足を引いて拳に力を込めた。

フィード「働け!!!!!!」

固く握られた拳は親方の頬にめり込み、背後の壁を壊しながら黒い巨体を吹き飛ばした。

フィードは鼻から息を吐くと、ギロリと辺りの海賊たちを睨み付けた。

トゥートを捉えていた海賊はトゥートを放り出した。
ドタリと尻餅をついて投げ出された目の前の、見下ろすウサギの赤い瞳にトゥートはきょとんとした。
目があうと、ウサギはフイと赤い瞳を逸らした。
フィード「ガンつけてんじゃねーよ」
トゥートは笑った。
小舟で寝てたのも、牢屋から出るとき道間違えたのも、そして今のも。
トゥート(なんだかんだ言って、ちゃんと心配してくれてたんだ……)
そして、心配という具体的な単語が浮かぶと共に両親の顔がよぎった。
トゥート(お父さんも、お母さんも……?)
トゥートの目から涙がこみ上げた。
頭の中はありがとうだとかごめんなさいだとか早く帰りたいとかいった気持ちでぐちゃぐちゃとしていた。
緊張の糸がとけた。

フィード「なーくーなっつってんだろが」
トゥート「ぼっぼくっ、前の町でもっ今の村でもっいっいじめられててっ、」

過保護な母親と気の弱い父親、
甘ったれで不器用なくせに過保護に守られてきたプライドばかり高く、それが同年代たちから反感を買った。
出来ないくせに態度だけ偉そうだと。
そうしていつしかついたあだ名が"モヤシメガネ"。
いじめられていることを両親に言うのは恥ずかしかった。
なぜだろう、自分に期待してくれているのに、友達の一人もいないのかとがっかりさせてしまうと思ったからだろうか。
友達がいないなんて、言えない。今日は友達と遊ぶだのなんだのと必死に嘘をついていた。
だが、そんな嘘まみれの生活は突然終わりを告げた。いつも一人でいる様子を教師が両親に伝えたのだ。
学校に気の合う友達がいないだけだと、スイミングスクールに通わせてくれた。だが、そこでも結果は変わらなかった。
何をやっても人より出来ない、それによりプライドが傷つくことを何より恐れた。それは自然と態度に出た。
やはり、友達は出来なかった。
両親は今度は田舎に引っ越そうと提案した。
理由はせっかくスイミングスクールに通っているのだから海のあるところに住もうというものだった。
それが自分への気遣いだと、子どもながらに気付いた。
海があり、のんびりとした田舎で、それでいて学校がある、そんな条件で探し当てたのが今の村だった。
学校の同年代たちは都会からの転入生に興味津々だった。
だが、虫を怖がったり、木登りが出来なかったり、みんなが出来て自分だけできない。「これだから都会人は」と思われている気がした。偶然か、ここでのあだ名も"モヤシメガネ"だった。
そうしてしばらくしてだった。
いつも野山で冒険ばかりしている同級生たちがまだ自分達だけで足を踏み入れられない場所があることを知った。
海だった。
同級生たちのほとんどが漁師の家。
親の手伝いで船に乗ることはあっても、学校の裏山のように自由に行ける場所ではないことを学んでいた。
船は大事な商売道具、なにより親から海の恐ろしさを聞かされて育った。
ゆえに、海の男になることは憧れで、海に出られることは一人前の証だった。
周りがそうなのだ、トゥートもまた自然と漁師になりたいと思うようになった。
ある日、学校で将来の夢という作文を書くことになった。全員が全員漁師になると書き、トゥートも当然そのように書いた。
同級生たちは笑った。虫も木登りもダメなやつが漁師になるつもりかと。
過保護な母親は当然頭ごなしに大反対、いつも優しい父親は何も言わなかったが、友達の家の船にのせてもらいたいと言うと、まだ早いとか、漁の邪魔になるとか言い、取り合ってくれなかった。
トゥートは腹を立てた。

それが家出を決意させた理由だった。



        



トゥート「だけど、もうお家に帰りたい」
目をいくら拭いても、涙は止めどなく溢れ続けた。
フィード「なんだ、イチニンマエになるために海に出たんじゃねぇのか? 諦めんのかよダッセ」
沸き起こる涙とともに余計な感情は流され、フィードのその言葉に、トゥートは何ら怒りの一つも込み上げなかった。
トゥート「もうい、」
フィード「痛って!」
見ると、リリーがフィードの腕に噛みついている。
フィード「何すんだよ、離せバカ!!」
リリーはトゥートに向き直った。
女の子に泣き顔を見られるのは恥ずかしい、トゥートは必死に涙を拭った。
リリー「おまえ、村のやつなんだってな」
トゥート「……そうだよ……!」
ふくよかな小さい拳が固く握られた。
リリー「……わるかったな、"ぬっしー"がひどいことして」
トゥートはきょとんとした。
リリーの瞳はうっすらと潤み始めた。
トゥート「……なんできみがあやまるの」

一呼吸整え、ふくよかな頬に一筋涙が伝った。
リリー「……ともだちだからさ」

トゥートにはリリーの発言の意味が分からなかった。

「おーい!」
男が一人、慌てて広間に入ってきた。
「大変だ!村の漁師どもが押し掛けて来やがっ、うわっ!」
トゥート「えっ」
男は屈強な太い腕になぎ倒された。
「大丈夫かトゥート!?」
太い腕の主を、トゥートは知っていた。隣の家のお父さんだ。
「うちのせがれがよ! おめぇが一人で舟乗っちまったって知らせてきてよ!」
その影からちらりと顔を覗かせたのは、海に出る時、背後から話しかけてきたあの同級生だった。同級生は慌てて駆け寄った。
「モヤシメガネ! 大丈夫かよ!」
「おめぇら二人!罰として1ヶ月漁の手伝いだ!」
「えーっ!……まあモヤシメガネ初めてだしな、おれがいろいろ教えてやるよ」
父親は息子をポカリと小突いた。
「偉そうなこと言ってんじゃねーよ」
トゥートは夢じゃないかとぽかんとしていた。
トゥート「船に、乗れるの、ぼく」
「乗れるじゃねぇよ、乗るんだよ」
心臓がドクドクとなり、体が熱くなった。自然と口の端が上がった。

後ろからぞくぞくと屈強な男たちが集まってきた。
「大丈夫かトゥート!」
「よかった」
「心配かけるんじゃねえよ」
大きく温かい手が次々とトゥートの頭をくしゃくしゃと撫でた。

村の男の一人が熊男を睨み付けた。
「海賊さんよう」
海賊の親方は胡座をかき、向き直った。村の男は頭を下げた。
「うちの村のもんが、迷惑かけたな」
トゥート「……」
いつも堂々としている隣のお父さんのその姿を見、トゥートは今更ながら事の大きさに気づいた。
先ほどのリリーの発言の意味が、分かった。

フィード「おい」
一同がフィードを注視した。
腕を組み、フィードはふんぞり返った。
フィード「海の主は俺様が倒してやった、これからは海賊こいつらも漁業の手伝いやるってよ」
親方「は? おいっ!」
リリー「やる! やるよ!」
親方「おい! リリー!」
リリー「…ぬっしーが迷惑かけたぶん」
親方はフィードに殴られ腫れた頬をさすった。
フィードはボキボキと指を鳴らした。
フィード「それともブタ箱入るか?」
親方は顔をしかめ押し黙った。
村の男たちはガハハと笑った。
「これからシーズンなんだ、そいつは大歓迎だ!」

「トゥート!」

背後から、聞きたかった声、
トゥートが振り返るとすでにその腕の中にいた。父親だった。
とたんに不思議と誇らしげな気持ちになった。
隣のお父さんに船に乗せてもらえること、海を出てからの冒険劇、怪我をした女の子を助けたこと、いろいろなことを語ろうと口を開きかけた時だった。先に口を開いたのは父親だった。
父親「心配かけさせて!」
トゥートの中にあった誇らしげな気持は消え失せた。そうして知らずに込み上げる、
トゥート「……ごめんなさい……」
父親「母さん泣きながら寝込んだんだよ、帰ったら、」
トゥートは声をあげて泣き出した。
トゥート「ごべんだだい〜〜〜〜〜!!」


「こら」
後頭部を小突かれ、フィードは振り返った。そこには見慣れた金髪。
エオル「派手にやってくれたじゃない」
フィードは後頭部をさすりながらそっぽを向いた。
フィード「ちょっと遊んだだけじゃねーか」
そのそっぽを向いた先には見慣れた黒髪。
よしの「フィード様……こんなに酷いお怪我を……今治しますね!」
フィードは顔をしかめた。
フィード「あーもー」
ふと、エオルの手元に引きずられているものが目に入った。
フィード「……」
エオル「ああ、なんか海賊島をうろついてる"同胞"を見つけたからね、"案内"してもらったんだ」
先ほど逃げた、あの魔導師だった。
エオル「ところでその手錠、何?」
魔導師と目が合うと、フィードはニヤリと笑った。



        



肌を包む冷たい朝もや
纏う冷気を溶かすように顔にかかる朝日が眩しい

夜まで昼寝をしていたためか、この日のフィードは珍しく朝から元気だった。
フィード「おらーっ! とっとと出航すっぞ!」
トゥートの父親は問いかけた。
父親「本当にもう行ってしまうのですか」
フィードのガナリ声が頭に響くのか、目をしょぼしょぼとさせ、真っ青な顔をさせたエオル。
エオル「ええ……(追われているので)急ぎの旅なので……」

トゥートの母親は深々と頭を下げた。
母親「本当に、息子を助けていただいてありがとうございました。」
よしの「トゥート様は今は?」
母親は苦笑した。
母親「ベッドでぐっすりです。起きたら叱らなきゃ」
父親「……あそこまで行動力があるとは思わなかったけどな」
母親は父親を睨み付けた。
母親「あなた!」
エオル(また始まった……)
父親「俺たちが石橋叩いてやるんじゃなくてさ、もう少しあの子の自由に、させてみようよ」
母親「あの子が傷ついたらどうするのよ」
父親「手当てしてやればいい、そうじゃなきゃ、学ばないこともあるさ、俺たちが子どもの頃はそうじゃなかったか?」
エオルは笑った。
エオル「でも、今回ほど危険なことはさせないように、ちゃんと見ていてくださいね」
父親も笑った。
父親「ハハ! そうします。ちょっとあの子を見くびりすぎていたようです」

母親は頬を膨らませた。
母親「もう!」
よしの「殿方のやんちゃに気を揉むのは女性のさだめやもしれませんね」
母親はクスリと笑った。
母親「まったくそうね」

フィード「はーやーくーしーろー!」
ド派手な装飾の海賊船の船首でフィードが跳び跳ねている。それを背中に受け、エオルはヤレヤレとため息をついた。
エオル「それでは」
父親「ええ、お気をつけて」


錨が上がり、海賊船は緩やかに大海に解き放たれた。
船の縁に寄りかかり、地平線付近のオレンジと水色の境界を眺め、フィードはポツリと呟いた。
フィード「たまには早起きもいいな」
その左隣で縁に頬杖をついて今にも眠りそうなエオル。
エオル「こっちはたまの遅起きもいいと思ってるよ」
フィードの右隣で腕に抱いたクリスを撫でながら海を眺めているよしの。
よしの「……」
フィード「何見てんだよ」
よしの「なんだか不思議です。海を、初めて見ますのに、初めてではない気がいたします」
エオル「もしかしたら、よしのさんはジパングの海辺に住んでいたのかも」
よしの「そうなのでしょうか」

フィードはにやりと笑った。
フィード「行けばわかんだろ、ジパングに!」


「ぉーーーぃ」


一行は浜辺を見た。
疲れてぐっすり眠っていたはずなのに、こちらに懸命に呼びかける小さな体。

トゥートはもはや遠くに離れた海賊船から見えるよう、渾身の力を込めて大きく腕を振った。

フィードは背を向け、うれしそうに笑った。
フィード「たまには子守も悪くねぇ」
エオル「こっちはたまには"子守"も休みたいけどね」
フィード「てめ、どういう意味だコラ」
いつも通りの二人のやり取りに、よしのはいつも通りクスリと笑った。




        
        
        
KT … カイセツ(K)とツッコミ(T)
      またの名を
      カユイ(K)ところにテ(T)がとどく


      
       
p.1    ■トゥートが…
    前編で浜辺のシーンでトゥートの背後から話しかけてきたのはこの少年でした。
    トゥートの同級生です。
       

p.2    ■"女"の方
     前編にて海賊たちにフィードは女と思われています。

       
p.3    ■人の気も知らないで
    トゥートの独白です。
    
p.4   ■魔導師は魔法だけじゃねぇって教えてやるよ
    魔法、武術両方を極めたのが魔導師。武術は魔法技術を悪用しようとするものたちから守るためのもの。
    昔は魔法使い=頭はいいが体力のないモヤシという等式が成り立っていたため
    悪い奴らが力づくで脅して魔法を悪用するというパターンの事件が多かったのです。
    そのため、魔導師養成学校では武術の体得が必須となりました。
    
    ■首に当たる刃物の感覚
    本当、冗談でもやっちゃいけないです。
       

p.8    ■親に言えない
    自尊心だと思います。そして自尊心は人間を形成するうえでなくてはならないものだと思います。


p.9    ■沸き起こる涙とともに余計な感情は流され、
    泣くということはカタルシス効果があると思います。
       
       
p.10   ■行けばわかるさ
    次回はついに新大陸上陸です!はてさて、どうなることやら。
       
       
       2011.3.26
        KurimCoroque(栗ムコロッケ)