20.foggy fog back



霧が立ち込める。
じめじめとした空気が肺にへばりつく。
靄を通して差す日の光は温もりまでは届かない。

鞘から引き抜かれた刀の共鳴音が辺りに響き渡った。

「フィード様!」
よしのは目の前の、コートの袖を捲り、静かに拳を構える"火葬屋"をたしなめるように名を呼んだ。

「ハイジ!」
同時にハニアも、目の前で鞘から抜いた長ドスをぶら下げ、今にも飛びかからんとする"狂犬"を止めようと名を呼んだ。

エオル「よしのさん、絶対動かないでね…!」
エオルはよしのに念を押し、剣を抜いた。
エオル「2対1だよ、分が悪いんじゃない?」
声をかけた先の狂犬は気にする様子もなくニタリと笑った。
そうして何の前触れもなく地を蹴った。


―――― foggy fog(霧の向こうの霧) ――――


ガキィン…!

刃物が激しくぶつかる音。
エオルは長ドスの白刃に目をやった。
エオル(何…!?この剣全然手入れされてない…!!)
その長ドスの刃は、刃こぼれや錆びだらけでまるで"刃物"としての役割を果たしていないようだった。
フィード「コラ!エオル!てめぇ!俺様がやるハズだったんだぞ!」
エオルはギリギリと剣を拮抗させながらいつもの調子でフィードをたしなめた。
エオル「おバカ!武器持ち相手に危ないでしょ!!」
その時、ドスリと鈍い音が響き、狂犬の革靴がエオルの腹部にめり込んだ。
エオルは吹き飛んだ。
間髪入れず、狂犬はフィードに向け飛びかかった。
ヴン、と空気を斬る音が響いた。
クルリとバック転で長ドスを避けたフィードは、着地した足をそのまま踏みきり狂犬の懐へ入った。
フィード「こないだのキレがねぇぞ」
狂犬の鳩尾へ向けて放った拳は宙を切った。
フィードの頭上スレスレをクルリと回るハズだった狂犬は突然バランスを崩し、背中からフィードの真上に落下した。
フィード「ぐっ!」
上からのし掛かられる形となったフィードは思わず前屈みに体勢を崩した。
狂犬はクルリと横に転がり、フィードの背中から降りると、呼吸する間もなく長ドスを振り抜いた。
フィード「いっ!?」

ガキィン

フィードの首の横で再び刃物と刃物がぶつかる音。
エオル「だから危ないって言ったでしょ」
フィード「うっせ」
フィードは悔しそうに後ろへ下がった。
エオルはクルリと剣を回し、握り直した。
狂犬はニヤニヤとエオルを真似るようにクルリと長ドスを回し、握り直した。
明らかに挑発であった。
エオル「…俺はあそこの銀髪と違って安い挑発には乗らないよ」
狂犬はニタリと笑った。
ピリ、と空気が張りつめた。



        



ハニア「よしの姉ちゃん」
エオルから動かないよう言われた場所から一歩たりとも動けずにいたよしの。
ふと隣を見るとそこには不安げなハニア。
ハニア「止めよう!?危ないよ、怪我でもしたら」
よしのは二人の魔導師を見た。
よしの「…」
ハニア「姉ちゃん!!」
よしの「…危なくなったら止めましょう」
二人の魔導師の爛々とした瞳、
トウジロウの時とは違い二人いっぺんにかからない闘い、
何故かはわからないが、まだここの時点で止めてしまうのは、すなはち"水を差す"ことだ、とよしのは思った。

エオルは地を蹴った。
幾度となく繰り返される金属音。
"当たりそうなのに"、そういった闘いだった。
フィードは遠巻きに闘いを眺めながらニヤリと笑った。
フィード「一般人があのエオルと互角かよ」
純粋に魔導師でない相手との互角の闘いを楽しむ二人の魔導師とは裏腹に、狂犬は少し苛立っているようだった。
ハイジは突然、長ドスを鞘へ収めた。
エオル「!?」
収めた長ドスの柄からハイジの手は離れない。

ハイジ「キル」

エオルは狂気と殺意を向けられた独特の悪寒を感じた。
ハイジは地を蹴った。
鞘から白刃が覗く。
エオル(居合いの変形か!)
通常であれば剣で受け止めるところであったが、エオルの直感が"受けるな"と叫んだ。
エオルは反射的に真横に跳んだ。

ズッ

パァン…!!

抜かれた長ドスの軌跡に押し出されるように周囲の霧が真っ二つに切り開かれ、一瞬霧の向こう側が覗いた。
後を追うように霧の向こうから木々や岩が地面に落下する音が響いた。
フィードは苦笑した。
フィード「オイオイ…」
エオルはゴロリと一回転し、立ち上がった。
エオル「人間技じゃないな…」
まるで魔法剣のそれだ。
狂犬はニタリと笑うとエオルの方を向き、再び長ドスを鞘に納めた。

ハニア「…なんか…ハイジのやつ様子が変だ…」
よしのはハイジの背中を見つめた。
よしの「…そうですね…あれだけ穏やかな方が…」
ハニア「そうじゃなくて!」
よしのはキョトンとハニアを見つめた。
フィード「そうだなぁ」
頭上から聞きなれた濁声が降ってきた。
よしのとハニアは背後を見た。
よしの「フィード様」
フィード「どうにも動きに精彩がねぇ」
ハニア「…こないだおいはぎから助けてもらった時は相手に息させるヒマもないくらいずっと刀振るってたのに…」
フィードは"狂犬"の背中を見、溜息をついた。
それは相手が魔導師だからだろう、そこいらのチンピラ相手とはさすがの"狂犬"もワケが違う。
だが、それにしても、前回廃村でほんの数手交えただけだが、だからこそわかる、その精彩の無さ。
よしのはフィードの表情を見、再びハイジを見た。
よしのの目からは所作はまったく歪みなかったが
よしの「…まさか、お怪我をされている…?」
ハニアは血の気が引いた。
ハニア「…崖から落ちた時だ…!」



        
        
        

よしの「エオル様っ!お止めになってくださいっ!」
剣を構えるエオルの耳にはよしのの声が入っていない様子だった。
フィード「集中しきってんな、聴こえてねぇ」
ハニア「ハイジ!」
ハイジはエオルを見つめ、ニタリと笑った。
ハイジ「キル」
ハイジは再び地を蹴った。

ザァッ

突然、霧が濃くなった。
それは突然どしゃ降りの雨となり、

ジュッ

雨粒の当たった部分が煙を上げ、衣服に穴が空き始めた。
ハニア「痛っ!痛たたたっ!」
ハニアは頭を押さえた。
よしのはハニアに雨粒が当たらないよう覆い被さった。

バサッ

よしのの上から黒いコートが被された。
よしの「フィード様!」
フィードはエオルに目をやりながら口を開いた。
フィード「俺様のコートは特別製だ、この雨でも通さねぇ」
覆い被さるコートの隙間からチラリと見えたフィードの腕は焼け爛れ、出血していた。
よしのは自分の頭の上のコートを取り払った。
よしの「フィードさ…」
フィードは無理矢理コートを被せた。
フィード「いいから被ってろっつーの!」
フィードは息を吸った。
フィード「テメェらそこまでだ!」
エオルは剣を降ろした。
エオル「フィード!この雨って多分…」

ブォン!

長ドスの切っ先を、エオルは間一髪避けた。
エオル「ちょっとアンタ!」
エオルはハイジを睨み付けた。
睨みつけられたハイジはニタリと口元を釣り上げた。
フィードは舌打ちした。
フィード「関係ナシかよ…!」

ハニア「ハイジッ!」
ハニアの今にも泣きそうな声に、ハイジはハッとしたように無表情に戻り、ハニアの声のする方を振り返った。
ハニアは泣き出した。
ハニア「痛いよう…!」
ハイジは空を見上げた。
フィードとエオルも同時に見上げた。
エオル「…フィード、さっき言いかけたことだけど、」
フィードはニヤリと笑った。
フィード「ああ、どうやら俺様たちは、"こいつ"の腹の中にいるらしい」

間違えた…フィードはコート着てないんだった…

三人の視線の先、一行の真上には、霧の中から覗く、宙に浮かぶ巨大な瞳。

エオル「雲中顎シパクトリだ…霧を装って入った生き物を胃液の雨で溶かしてエサにする」
フィード「一時休戦だ、いいな狂犬」
ハイジは長ドスを鞘へ収めた。
ハイジ「キル」
フィード「やめとけ、見るからに武器なんざ効きゃしねぇよ」
下がってな、とハイジを押し退けると、フィードは呪文を唱え始めた。

フィード「火炎龍プロム・エ・ス!!」

巨大な蛇のような炎が辺りをオレンジ色へと染めた。
炎の通り道は一瞬立ち込める霧に穴を開けたが、すぐさま周囲の霧で穴は塞がれた。
フィードはイライラと頭をかきむしった。
フィード「あ゛ーっ!!早くしねぇとハゲちまうっ!!」
エオル「フィード、あまり気が進まないけど、ここら辺を大火事にできる?」
大火で蒸発させてしまおう、それがエオルの狙いだった。
フィードはブスッと不機嫌そうな顔をした。
フィード「そいつはたぶん"光炎魔法"の範疇だ」
※フィードの専攻は爆炎魔法
エオル「…住み分けがよくわかんないよ…」
エオルは背中に剣をしまい、呪文を唱えた。

エオル「浄水盤フィル・ディク!」
――大気中の水分を集める魔法

ザザァと水がぶつかる音が辺りを取り囲んだ。
エオルの正面に巨大な渦が浮かんだ。
フィード「おっ」
辺りの霧も、渦に吸い込まれるように引き寄せられて行く。
上空の巨大な目はパチクリとし、エオルを見た。
フィード「…水の精霊の"力"比べか」
エオルはニッと笑った。
エオル「どっちが従えられるかな?」
霧が徐々に薄らいできた。同時に"雨"も小雨に変わった。

薄らいだ霧の中に濁った泥水のような"もや"が現れた。
フィード「あれが本体か!」
フィードの両手から炎が噴き出した。――魔法拳!
フィード「こいつで終わりだ!」
フィードは地を蹴った。

どかっ

フィードは前のめりに盛大に転けた。

ヒュン、と長ドスが風を切る音。真っ二つになり中空に消えた濁った"もや"。
ハイジの着地と同時に霧は一瞬にして晴れ渡った。
穏やかな陽光のぬくもりが辺りを包み込んだ。
むくりと起き上がったフィードの後頭部にはくっきりと革靴の裏の形に泥がついていた。
フィード「踏み台にすんなーーー!!」

しばらく着地した体勢のままだったハイジは長ドスを鞘に納めながら立ち上がりかけた。
だがフラリとよろめくとズシャリと音を立てて膝をついた。


        
        
        
        
        
ハニア「ハイジ!」
ハニアは駆け寄った。
ハニア「ごめん!俺のせいだよね」
ハイジは一瞬キョトンとし、首を横に振った。
ハニア(あ、絶対何のことかわかってない)
よしの(よくわからないけどとりあえず首を横に振りましたわね)
ハイジの前によしのはしゃがみこんだ。
よしの「どこをお怪我されているのですかっ!?」

フィード「おーい、よしのー俺様らも怪我してんだけどー」

ハイジはよしのに目配せした。
よしのはそれを無視し、まっすぐハイジを見つめた。
よしの「一番酷い怪我をされている方が優先ですっ!フィード様、エオル様、少々お時間いただきますっ」
フィード「…」
フィードは苦い顔をした。
エオルは笑った。
エオル「よしのさんには敵味方関係ないみたいね」
フィードはあからさまに不機嫌になった。
フィード「よーしのーっ!はーやーくっ!!」

ハニア「ええと…落ちたとき、どうやって着地したんだっけ」
ハニアは必死に思いだそうとした。
だが、ほとんど目を瞑っていて、記憶という記憶がない。
ハニア「ハイジー!お願いだから痛いとこ見せてよっ!」
ハイジは"ああ、そういうことか"とキャソックを脱いだ。
キャソックが黒いため分からなかったが、その下の白いシャツは真っ赤に染まっていた。
ハニアは思わず口を塞いだ。
ハイジ「…」
ハイジはこの下も?という視線をよしのに向けた。
よしのは当たり前だと頷いた。

エオルは苦笑いした。
エオル「オイオイ…」
白いシャツの下は古傷だらけの痛々しい体、そしてその鳩尾の真新しい傷口からは肋骨が飛び出していた。
ハニア「背中もっ!!」
背中一面うっ血、パンパンに腫れていた。
よしのとハニアはポロポロと泣き出した。
ハニア「バカハイジ!こんなになるまで…」
よしの「…何をお考えなんですっ」
ハイジは慌ててシャツを着ようとした。
よしのとハニアはシャツを引っ張ってそれを阻止した。

フィード「なんか楽しそうだな」
エオル「普通の人間なら痛みで卒倒してるよ…それをあの闘い…」
エオルはサンドワームの巣で手首の怪我を強がって隠していたフィードを思い出し、本人を横目で見た。
エオル「君レベルのバカだね」
フィード「意味わかんねー、つーかこのまま怪我治ったらまた襲ってくんじゃね?」
それはそれで楽しいけどなとフィードは笑った。

エオルはよしのの肩に手を置いた。
エオル「狂犬、その怪我は治療する、だがそのかわり、剣を引いてくれ」
ハイジはニタリと笑った。
ハイジ「では尚更治療などいらんな」
ハイジは長ドスの柄に手をかけた。
ハニア「ハイジ…」
ハニアは更に泣き出した。

ギュッ

長ドスにかかった手を、それより細く小さな両手が押さえつけた。
よしの「…雇い主様が泣いていらっしゃいますよ!!ご自分の仕事をこなしてくださいませ!!」
ハイジはよしのを睨みつけた。
よしのはまっすぐハイジを見つめた。
ハイジ「…俺は賞金稼ぎだ」 
よしのは眉をつり上げた。
よしの「今はその前に用心棒でいらっしゃいましょう?」
ハイジ「…」
ハイジはフッと笑うと抜きかけていた長ドスをカチリと鞘におさめた。
ハイジはエオルを見た。
ハイジ「"うまいエサ"は後に残しておかんとな」
エオルは腕を組んだ。
エオル「こっちは"面倒事"を後に回してるみたいでいい気分じゃないけどね」
ハイジはよしのの方に向き直った。
ハイジ「頼む」
よしの「はい!」



        



よしのを取り囲むように風が巻き起こり、光とともによしのの周囲に手のひらサイズの宝珠がユラリと現れた。
宝珠はよしのの周囲をクルクルと回り、正面にライム色の宝珠が来た所で止まった。
宝珠はライム色に輝きだし、光の中からライム色に輝く狛犬が現れた。
狛犬が一度キャンと吠えれば、たちどころに出血が止まり、
ペロリ舐めれば、たちまち時間を逆再生するかのように傷口が元へ戻った。
狛犬は古傷も治そうとしたが、ハイジは狛犬の顎を撫で、ニコリ微笑み首を横に振った。
よしの「…よろしいので?」
ハイジは立ち上がりながら頷き、泣きじゃくるハニアの頭にポンと手をおいた。

ハイジ「…それと同じようなものを見たことがある」
ハイジは光とともに消えていく狛犬を見ながらぼそりとつぶやいた。
よしの「え」
エオル「!ど、どこで!?」
ハイジはシャツとキャソックを着ながら答えた。
ハイジ「パンゲア大陸の魔薬業者が持っていたな」
よしの「なぜご存知なのですか」
ハイジはシャツの自分の手元を注視し、不器用な手つきでボタンかけながら答えた。
ハイジ「別のバイトで」
エオル「なんて業者?」
ハイジ「忘れた」
エオル「…同じようなものって、どんなもの?」
ハイジはよしのをチラリと見、再びボタンに視線を落した。
ハイジ「それみたいに中に文字のようなものが入った玉を使って、不思議な力を使っていた」
エオル「不思議な力?どんな?」
ハイジはボタンをかける手を止め、固まった。
ハイジ「………」←思い出そうと頭を巡らせているが、どうにも出てきそうにない。
ハニアはエオルを見上げた。
ハニア「ハイジ、自分に関係ないことってホント覚え悪いから…」
エオル「…ええと、他に何か知らない?」
ハイジ「ない」
ハイジはキャソックの最後のボタンを摘め終わると踵を返した。
ハニア「またねっ」
ハニアはハイジの後を追った。

エオル「…な、なんて微妙な情報…」
よしの「魔薬業者…」
キーテジの町での、嫌な記憶が蘇った。

二人の影が見えなくなると、よしのは二人の魔導師の怪我を治していなかったと慌てて向き直った。
目を向けられたフィードは狂犬の進んでいった方角をにらみつけ、更にブスくれていた。
フィード「あのやろ、ガンくれやがった」



        
        
        
  
ラプリィ「んーーっ!いい風!」

ラプリィは両手いっぱい広げた体に心地よい潮風を浴びていた。
盗品を売っては金を儲け、貯めた金で馬を買い、あっという間にムー大陸北部の港町にたどり着いた。
自分で自分のための自由な金を稼いでいるという充実感は、ラプリィの"仕事"への意欲を一層駆り立てていた。
ラプリィ「さてと、」

潮の匂いは感じるが、空は夜の闇。
正面に広がる海であるはずの景色は真っ黒な平原。
遠くで火影漁の灯りが点々と、辺りはただ波音のみ。

ラプリィはくるりと振り返ると背後に広がる町明かりに消えていった。

閉店間際のハンターズギルドのバーにて、カウンターで軽食とミルクティー。
口に運びながら眺めるのは無数の手配書が重ね貼られた賞金首の掲示板、その一番目立つ所にある真新しい手配書。
ラプリィ(フィードさん、エオルさん…)

「お嬢ちゃん」
カウンター越しに皿を吹いていた女店主が話しかけてきた。
ラプリィ「あ、ごめん、早く食べちゃうね」
「いいえ、ゆっくりどうぞ」
冒険者登録はしていないが、裏ギルドは怖くて利用できず、泥棒であることを隠してハンターズギルドに出入りしていた。
「賞金稼ぎになりたいの?」
ラプリィ「…ううん、でも、ちょっと見ていい?」
「どうぞ」

ラプリィは掲示板の前で手配書の一枚一枚をしげしげと眺めた。
ラプリィ(…あれ?)
この間まであった"怪盗モスキート"の手配書が見当たらない。
ラプリィ(埋もれちゃったのかな…)
手配書は何枚も上から重ねて貼られているため、下に埋もれている手配書まで掘って探すのは億劫だった。
ラプリィ(ま、どうせヘズのことだから元気でやってるよね)

…自分もいずれここに載る時が来るのだろうか。

「人捜しかい?」
カウンター越しの女店主は食器をしまいながら手配書を見つめる、冒険者としてはあまりに幼い少女に話しかけた。
ラプリィ「まあそんなとこ」
ラプリィは席に戻り食事を再開した。



        



「俺のターンや」

雲ひとつない夜空。
輝く月。
眼下に街を見下ろす丘の上。

燃え盛る炎の剣、
剣から発せられる炎に照らし出されるは、ニヤリと笑い一点を見つめる黒髪坊主の強面男、トウジロウ。
その脇で力なく膝を折るリケは朦朧とした意識の中で声を捻り出した。
リケ「"あの人"を助けたい」
トウジロウは剣の炎で咥えた煙草に火をつけ、鼻で笑った。
トウジロウ「何をどうしたら助けたことになんねん、リーダーはん」
リケは即答した。
リケ「生かして確保、それがリーダーとしての指示よ」
トウジロウは鼻からタバコの煙をゆっくりと吐き、無表情で答えた。
トウジロウ「了解」
トウジロウの視線の先、雑木林の奥。
ガサガサと茂みが揺れた。

『コろス』

ヌルヌルとした体表、耳の向こうまで裂けた口、何処を向いているのかわからない紅く光る異形の瞳。
ハンチング帽の男の原型は、既にその衣服のみであった。
トウジロウは笑った。
トウジロウ「やってみい」

瞬間
トウジロウの左上が陰った。
茂みの奥にあったハンチング帽の男の姿が消えた。
リケ(残像!)

ガァン!

炎が激しく揺れた。
ハンチング帽の男の鉤爪と炎の剣とが拮抗する。
だが力加減を測るように徐々に炎の剣が押し始めた。
リケは声を振り絞った。
リケ「悪魔!貴方に戦意はないでしょう!?アーティファクトの炎に焼かれたくなければ、(悪魔)契約解除しなさい!」
ハンチング帽の男に反応は無かった。
リケ(…悪魔の意志ではない)
それはつまり、ハンチング帽の男の強い怨みが悪魔を縛っていることを意味していた。
リケ「…であれば話は早いわね、トウジロウさん!」

悪魔からではなく人間から縛っているのであれば――

炎の向こうからトウジロウの大きな拳が、ハンチング帽の男の大きくせりだした鼻先にめり込んだ。
ハンチング帽の男は大きく後ろへ吹き飛んだ。
砂埃を上げて倒れ込んだ瞬間、ハンチング帽の男の周囲から黒煙が噴き出した。
リケ(人間が意識を失えば悪魔合体イクセスブレイクは解ける!!)

「…マだダ」

立ち込めかけた黒煙は逆再生するかのようにハンチング帽の男の体の中へ戻っていった。
トウジロウはニヤリと笑った。
トウジロウ「おっさん、根性あるな」

ハンチング帽の男は立ち上がった。

ハンチング帽の男からは繋がりのない単語がブツブツと発せられ、意識という意識が感じられなかった。
ハンチング「…帽子…コート…パン屋…」
リケ「記憶の中の単語…必死に自分を"繋ぎ止めている"んだ…!」
トウジロウは炎の剣をリケの足元に投げ捨てた。
炎の剣はたちまちに炎を失い、ただの短剣へと戻った。
トウジロウは地を蹴った。
ハンチング「…カード…魔導師…魔薬…」
トウジロウはハンチング帽の男の目の前で更に踏み込んだ。
ハンチング「…リディア…キーテジ…」
リケ「!!!トウジロウさん!ストップ!!」
トウジロウの拳はハンチング帽の男の鳩尾スレスレでピタリと止まった。
トウジロウは苦々しい顔をしてリケを見た。
トウジロウ「何やねん」



        



リケはゆっくりハンチング帽の男に語りかけた。
リケ「キーテジの町のリディアさん…もしや彼女の行方不明お兄さんでは?」
ハンチング帽の男は制御がきかず震える瞳でリケを見た。
リケ「…あのことを"魔導師によるもの"だとお考えなのですね…ですが、…残念ながら直接の原因は別にあります」
トウジロウ(キーテジ…?W・B・アライランスの件か?)

リケ「彼女の死因は魔薬による幻覚症状からの転落死です」
ハンチング帽の男はダランと腕を垂らした。

暫しの沈黙。

ハンチング「…うソダ…」
リケはゆっくりと首を横に振った。
リケ「リディアさんは魔薬の常習者だったの、体が弱いのにバイトを始めたのも魔薬を買うお金を稼ぐため…」
ハンチング「…勝手なこトを言ウな…」
ハンチング帽の男の体がブルブルと大きく震えだした。
リケ「…妹さんが亡くなった原因は魔導師ではなく、あなたが配っている魔薬よ、ギルティンさん」
ハンチング「…違ウ…」
リケ「え…」
トウジロウはハンチング帽の男の様子を見、数歩距離をとった。
トウジロウ「リケはん、そろそろあかん」
ハンチング帽の男の瞳の紅い輝きが増した。

ゴッ

そうはさせじとトウジロウの拳がハンチング帽の男の顔面にめり込んだ。
だが、ハンチング帽の男の体はびくともしなかった。
トウジロウはニヤリと笑いながらブラブラと手を振った。
トウジロウ「ケガ治ったばっかやねんけど」
紅い瞳と目があった。
間髪入れずに巨大な口が開いた。

ガチン

金属音を立てて噛んだのはトウジロウがいたはずの中空。
同時に、ハンチング帽の男の足元に鈍い音が響いた。
ハンチング帽の男は足を払われ、一瞬宙を舞った。
仰向くハンチング帽の男の正面には見下ろすトウジロウ。
瞬時に降り下ろされる大きな拳。

ズガァン!!

仰向けに倒れ込んだハンチング帽の男の背中から、地面に亀裂が走った。
ハンチング帽の男の口から黒い煙が噴き出した。

トウジロウ「熾霜床フ・リージャ」――物を凍らせる魔法

ハンチング帽の男の体に霜が降り、黒い煙の噴出が止まった。
そうして再び降り下ろされるトウジロウの拳。
リケ「…」
悪魔が契約を拒否し、それを人間が無理矢理繋ぎ止めている状態、つまり、人間側が意識を失えば契約は解ける…!
ハンチング「グ、アァアアァ!!」
氷結した体表をバリバリと鳴らし、ハンチング帽の男の体が激しく波打った。
トウジロウはよし、と数歩距離をとった。

バシッ

トウジロウ「おっ」
トウジロウの腕に絡み付いたのはハンチング帽の男から伸びるトカゲのような尾。
絡み付かれた腕はミシミシと音を立てて引き寄せられる。
トウジロウ「おもろいやんけ」
トウジロウはニヤリと笑うと尾に絡み付かれたままハンチング帽の男めがけて駆け出した。
リケ「うわっ!」
トウジロウ「!」
リケを見ると、もう一本の尾がリケの足に絡み付きそのままズルズルと引き寄せられている。
リケ「くっ」
トウジロウが投げ捨てた短剣に手を伸ばすが、

ゴボッ

不快な液体音とともにハンチング帽の男の口から吐き出された大量の濁った水。
あと少しで届くというところで水とともに短剣は押し流されてしまった。
同時に
トウジロウ「うおわっ!」
ドチャッと音を立てて、トウジロウは尻餅をついた。
ハンチング帽の男から吐き出された液体は辺り一面に広がり、ヌルヌルと全てを滑らせた。
トウジロウのこめかみに青筋が立った。
トウジロウ「野っ郎〜〜!」
リケ「手を抜くからですよ、もう!」
リケは手をかざした。

リケ「風流動ヴェ・リゼ!」――物を動かす風魔法

遠くに流された短剣はふわりと浮きあがり、パン!と音を立ててリケの手のひらに納まった。
そうしている間にもリケの足はハンチング帽の男の巨大な口へと近づいていく。
ビチャッと音を立て、トウジロウは液体に手を沈めた。

トウジロウ「熾霜床フ・リージャ!」

辺りの液体は変化ない。
トウジロウ(水の精霊完っ璧支配されとる…こりゃあかんわ)

リケ「ラハト・ケレブ!」
短剣に炎が灯り、炎の大剣となった。
炎の剣は足に絡みつく尾を焼き切り、リケの周りの液体を蒸発させた。
ハンチング「オオオ!!」
ハンチング帽の男の巨大な口がリケに迫った。
リケは炎の剣を構えた。

ドカン

リケの頬に液体が飛び散った。
ハンチング帽の男の頭は頭上から降ってきた拳に抑えつけられた。
ハンチング帽の男の頭上には黒髪坊主の大男。
リケ「トウジロウさん」
リケは先ほどまでトウジロウの居た場所を見た。
一ヶ所地面がめり込んでいる、トウジロウの足形の。
リケはハハと苦笑い、ポツリと呟いた。
リケ「…規格外」

ハンチング帽の男の口から勢いよく黒い煙が噴き出した。
同時に、まるで空気が抜けてしぼんで行くようにハンチング帽の男は元の人間の姿へと戻っていった。
上空に黒い煙が渦巻いている。
リケは炎の剣を構えた。
その時だった。



        



「こら〜お前!夜中に何しとるか〜!」
トウジロウ「げっ!」
昼間トウジロウがハンターズギルドで出会った保安官だった。
丘を駆け上ってこちらへ向かってくる。

リケ「知り合い?悪魔を始末するまで足止めを」
トウジロウはリケを見た。
トウジロウ「ちょ、ええとこ(悪魔の始末)もってくなや」
リケ「リーダー命令です。そんなにやりたいならご自分のアーティファクトをもってきてください」
トウジロウはガシガシと頭を掻くと保安官の方へ向かった。

リケは上空に浮かぶ黒い煙をにらみつけた。
リケ「この人から"持って行った"ものを還しなさい」
黒い煙は徐々に爬虫類の形をなし、煙の中から紅い瞳がこちらへ向いた。
悪魔「…視力…還ス…」
リケは悪魔を睨み付けた。
リケ「…"全て"還すのよ!」
悪魔「…聴力…言葉…モウなイ」
リケは短剣から発せられる炎を揺らした。
悪魔「…心臓…ホントウニもウナい」
リケ「…まだ"持ってる"わね、あなたも連行します」

保安官「何をやっとるんだ!」
トウジロウ「俺らこういう者やねん」
トウジロウは腰に巻いていた隊服の上着を取り上げた。
上着につけられている紋章を見、保安官は再びトウジロウを見た。
保安官「トランプだったのか」
トウジロウは煙草に火をつけた。
トウジロウ「そういうことや」
保安官「…ところで」
トウジロウ「あん?」
保安官「お前ものすごく汚いな」
トウジロウは悪魔の粘液でドロドロとしていた。
トウジロウ「やかましいわ」

保安官はリケを見た。
保安官「で、どんなやつなんだ」
トウジロウ「…そのうち新聞にのるやろ」
保安官はプンスカと怒り出した。
保安官「ワシはこの町の保安官だぞ!知る権利がある!」
トウジロウを通り過ぎようとした保安官を、トウジロウは遮った。
トウジロウ「…おっさん、元気やなぁ」
保安官「町を守るもんとして当然だ」

リケ「トウジロウさん!マジックワープの準備が出来たわ」

トウジロウが背後から声をかけてきたリケを振り返った時だった。

ドスッ

保安官「ぐあっ」
トウジロウは脇を締め、背後から伸びるナイフを持つ手を挟み込むとそのまま捻りあげた。
トウジロウ「どういうつもりやねん、おっさん」
保安官の手からナイフが滑り落ちた。
保安官「…実はこの町の大事な客人が今晩裏ギルドに姿を現さんでな、探しておったのだ」
トウジロウはニヤリと笑った。
トウジロウ「へぇ、おっさん裏ギルドなんて出入りしてたん」
保安官「お前ら、ギルティン氏を捕らえに来たな」
トウジロウは保安官の腕を締めたままグルリと体を回転させた。
保安官は前のめりにバランスを崩した。
そのまま足をかけられ、保安官はズダンと音を立て仰向けに投げられた。
トウジロウは起き上がれないよう保安官の胸あたりを踏みつけた。
トウジロウ「ナニ魔薬とか手ェ出してん」
保安官「いつものワシでいられるからだ!」

息子がいなくなってから自分が自分でないようにすっかり気落ちしてしまった。
その落ち込み具合は町中の人に心配されたぐらいだ。
もう二度と元の自分には戻れないと思った。

そんな時だ、ギルティン氏に会ったのは。
"魔導師が作った元気の出る薬"
たまたま捕まえた売人が手にしていたその触れ込みを目にし、魔導師が手がけるものということで何の疑いもなく裏ギルドへ足を運んだ。

本当にすがるような気持ちだった。
「これを飲めば、元通り元気なアンタに戻れるよ」

飲めばたちまちに気分が高揚し、体に力がみなぎった。
町のみんなも「元気になった」と喜んでくれた。

保安官「ギルティン氏は救世主だ」
トウジロウ「目ェ覚ませドアホ」
保安官「魔導師のお前にはワシらのような弱者がわからんのじゃ!」
トウジロウは呆れ混じりの溜息とともに煙を吐いた。
トウジロウ「知りたないわ」

リケ「どうしたの!?」
様子がおかしい、とリケが慌てて駆け寄った。
トウジロウは保安官から足をどかした。
トウジロウ「リケはん、あの荷車俺運んだるわ」
トウジロウは掘っ立て小屋の前の、魔薬が積まれた荷車へ向かった。
保安官「ま、まて…」
トウジロウは足を止めなかった。
保安官はリケにすがりついた。
保安官「ギルティン氏の持ち物は!?すべて押収してしまうのか」
リケ「…そのつもりのようですね」
保安官「ま、魔薬もか!?」
リケは保安官の前に腰を落とした。
リケ「あなたの国の法律では、魔薬はどのように扱われていますか」
保安官「だがワシは!!」
リケ「私たちにはあなたをどうこうする権利はありません、ただ…あなたがやっているのは魔薬です、
   もし考える脳がまだ残っているのであれば、よく考えて」
保安官「ワシは…ワシはどうすればいいんだ!」
リケは踵を返した。

保安官「魔薬をよこせえぇ!!」
保安官はなりふり構わずリケに飛びかかった。
トウジロウ「リケは〜ん、何じゃれついてんね〜ん」
リケは保安官を取り押さえた。
リケ「…この街の自警団に引き渡してきます、トウジロウさんは先に帰っていてください」
トウジロウはタバコの火をもみ消した。
トウジロウ「…了解」



        



フィード「なんだよ」
よしの「クリスちゃん?」
星が瞬き、ひんやりと冷えてきた地表。
三人と一匹が囲む焚火が心地よい。
さあ就寝だ、とフィードとエオルがどちらが先に火の番をするか話始めた際、よしのがやりたいと言い出し、一モメ始まった時だった。
クリスはある方角を見つめていた。
よしのが様子を窺うようにクリスの背中を撫でた。
クリス「いいや、ちょっと距離があるところで、なんか楽しそうなことがあってそうだなって」
よしの「まあ、クリスちゃんたら、ここも楽しいですわ」
同意を求めて振り返った先の魔導師二人は静かに目を閉じ眉間に皺を寄せていた。
エオル「すごい僅かだけど…精霊たちが震えてる」
クリス「ほー、これがわかるか、まぁ、さすがは"天才"様だな、"堕ち"てるけど」
※エオルの通り名は"堕ちた天才"
エオル「うるさいタヌキ」
クリス「なんだとこら」
フィードは溜め息をついた。
フィード「こんな、気を付けてわかるかわかんねぇかレベルの精霊どものどんちゃん騒ぎが楽しいって?意味わかんねー」
フィードはエオルから毛布を奪うと寝転んだ。
エオル「あーっ!こらフィード!ジャンケンで決めようって!」
よしの「エオル様!私火の番をいたしますから」
エオル「いやっ、えーと…」

クリス「…」

――どうやら"連中"、本格的に"カーニバル"の準備に取りかかったな…。――

クリスはエオルと毛布の奪いあいをするフィードを見つめた。
そうしてまるで他人事のように欠伸をすると、よしのの膝の上に飛び乗り、丸まった。






「いいことを思い付いたぞ、フォビアリ」
姿を表す前に声をかけられたシルクハットの男は、
その力士のような大男の背後、蝋燭がチラチラと揺らす棚の影からユラリと現れた。
フォビアリ「…いいこととは?」
フォビアリの声色には一切の期待も込もっていなかった。
「俺の名をいろんなヤツに名乗らせて薬をばらまかせる、
 幸い、魔導師のバッチは"山ほどある"しな」
フォビアリはちょび髭を撫でた。
フォビアリ「トランプの捜査を撹乱させるのですか、貴方にしては考えましたね、ギルティン」
その力士のような大男はニヤリと笑った。

ギルティン「俺じゃあねぇよ、魔導師に怨みがあるっつってた、バカな人間さ」



        
        
        
KT … カイセツ(K)とツッコミ(T)
      またの名を
      カユイ(K)ところにテ(T)がとどく


      
       
p.3    ■ハッとしたように無表情
    ハイジは基本
     普段→無口、無表情に近い控えめな感情表現
     "エサ(犯罪者)"が目の前にいる→多弁、挑発的、ニタニタする
    となります。
    
    ■住み分けがよくわかんないよ
    エオルは流水魔法学科卒
    フィードは爆炎魔法学科卒
    となり、アカデミーではそれぞれの学科で学ぶ内容は漏れないようになっているので
    魔導師でもエオルから見たらフィードの分野はよくわかりません。
       

p.4    ■ハイジは慌ててシャツを着ようとした。
    よしのとハニアが泣き出したためびっくりしたようです。
    とりあえず元の通りシャツを着ればおさまるかと思ったみたいですね。
    基本フィードとは違う方向でおバカです。

       
p.5    ■パンゲア大陸の魔薬業者が持っていたな
    現在フィードたちのいる大陸は「ムー大陸」
    その北に位置する大陸が「パンゲア大陸」となります。
    フィードたちはパンゲア大陸のファリアス港からジパング入りを目指しています。
    ところがどっこい、ただファリアス港を目指す以外に、寄り道の必要が出てきたようですね。
    
    ■キーテジの町での、嫌な記憶が蘇った。
    7話、8話参照。
       

p.6    ■ラプリィ
    一行を追っているはずのラプリィですが、一行を追い越してしまいました。
    (一行はまだムー大陸の北の海側にはついていません)
    これからどうなっていくのか、注目していただけたらと思います。


p.7    ■リーダー
    14.3話でウランドからチーム編成を言い渡された際、
    リケをリーダーに任命しています。まあ、当然でしょうな。
    トランプの中の立場的には
     リケ 36歳
     トウジロウ 27歳
    でリケの方が先輩ですが、地位的には2人ともエースなので同等の立場です。
       
       
p.8    ■もしや彼女の行方不明お兄さんでは
    リケはキーテジの町でW・B・アライランスの足取りの調査をしていました。
    その際に宿での事件(リディアの件)を聞き込みしています。(11話)


p.9    ■そのつもりのようですね
    トランプはここではハンチング帽の男の持ち物まで押収する必要はありません。
    いつもならその町の自警団などに引き渡します。
    今回は自警団の一員である保安官に薬が渡らないように持って帰るようですね。


p.10   ■精霊どものどんちゃん騒ぎ
    トウジロウ、リケvsハンチング帽子の男戦のことを指します。
    魔法やアーティファクトを使用したので精霊たちが活発に活動していました。
    
    ■カーニバル
    どうやらクリスはギルティンたちが言っていた"カーニバル"について知っているもよう。
    ちらりとフィードを見る辺り、何かはらむところがありそうですね。
    
    ■ギルティン
    本物です。
    トランプはまんまと偽物(ハンチング帽の男)に引っかかってしまったようです。
    手掛かりがほとんどない状況で、相手の策にはまってしまいました。
    はてさて、どうなる事やら。
       
       
       2011.1.8
        KurimCoroque(栗ムコロッケ)